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衣料産業におけるHackmanとOldhamの職務特性モデルの適用:論文レビュー

こんにちは、原田です。
今回は、衣料産業におけるHackmanとOldhamの職務特性モデルの適用に関する論文です。工場の労働者に関する調査です。

今日の論文

Job Characteristics Model of Hackman and Oldham in Garment Sector in Bangladesh: A Case Study at Savar Area in Dhaka District
バングラデシュの衣料産業におけるHackmanとOldhamの職務特性モデル:ダッカ県Savar地区の事例研究

サマリ

  • 本研究では、HackmanとOldhamの職務特性モデルをバングラデシュの衣料産業に適用し、職務特性が労働者のモチベーションに及ぼす影響を分析した

  • Savar地区の10の衣料工場から100人の労働者を無作為に選び、5つの職務特性(技能多様性、タスク同一性、タスク重要性、職務自律性、フィードバック)が労働者のモチベーションにどのように影響を与えるかを調査

  • その結果、労働者はタスク同一性、タスク重要性、フィードバックに満足しているが、職務自律性や技能多様性には不満を抱いていることが明らかになった

  • 特に、スキルの多様性が欠如しているため、労働者のキャリア開発が阻害され、モチベーションの低下を招いている

方法

  • サンプル:Savar地区の10の衣料工場に勤務する100人の労働者

  • データ収集:構造化された質問票による個別インタビュー

  • 分析項目:5つの職務特性(技能多様性、タスク同一性、タスク重要性、職務自律性、フィードバック)

  • 統計手法:各職務特性の影響を測定し、仮説の検証を実施

わかったこと:

  • タスクの同一性 (Task Identity)

    • 94%の労働者が満足

    • 明確な作業範囲があることが動機付けにつながっている

  • タスクの重要性 (Task Significance)

    • 65.7%の労働者が肯定的

    • 自分の仕事が組織や社会に与える影響を認識している

  • フィードバック (Feedback)

    • 61.7%の労働者が満足

    • 自分の仕事の成果について定期的な評価を受けている

  • スキルの多様性 (Skill Variety)

    • 63%の労働者が不満

    • 単調な業務が多く、ジョブローテーションがほぼ行われていない

  • 職務の自律性 (Autonomy)

    • 47%の労働者が否定的

    • 作業の進め方やスケジュールを自由に決める権限がほとんどない

  • 全体的な傾向

    • 労働者は タスクの同一性・重要性・フィードバック には満足

    • スキルの多様性・自律性の欠如 による不満が大きい

    • 自由度の低い管理体制が労働者のモチベーションや生産性を低下させている

論文から得た学び

バングラデシュの衣料産業の労働者はタスクの同一性、タスクの重要性、フィードバックには満足しているが、スキルの多様性と職務の自律性に不満を持っていることがわかりました。特に、スキルの多様性の欠如は、労働者のキャリア開発の機会を奪い、モチベーションの低下につながっていることが示唆されています。また、衣料産業では管理層の指示に従うことが求められ、労働者が自らの判断で仕事を進める自由がほとんどないことがわかりました。

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