見出し画像

新規事業創出経験を通じた中堅管理職の学習:論文レビュー

こんにちは、原田です。
今回は新規事業創出経験を通じた中堅管理職の学習に関する論文です。

今日の論文

An Empirical Study on Learning by Middle Management through the Experience of New Business Incubation
新規事業創出経験を通じた中堅管理職の学習に関する実証的研究
Satoshi Tanaka, Jun Nakahara
Japanese Journal of Administrative Science, 2017

サマリ

  • 中堅管理職が新規事業の創出経験を通じてどのように学習し、成長するかを実証的に研究

  • 学習は4つのフェーズを経て進行することが明らかにされた(責任回避、現実受容、批判的反省、視座の変容)

  • M-GTA(修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ)に基づき、データ分析を行った結果、学習プロセスのモデルを構築

方法

  • 対象: 新規事業部門に所属する中堅管理職15名

  • 方法: 半構造化インタビューを実施

  • 分析: 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ (M-GTA) を用いて、インタビュー内容を分析

わかったこと:
新規事業創出経験を通じた中堅管理職の学習プロセス

学習プロセスは以下の4段階に分類された。

  • 責任回避フェーズ: 他者や環境に責任を押し付ける

  • 現実受容フェーズ: 自分の働く目的や事業価値を再評価し、現実を受け入れる

  • 批判的反省フェーズ: 自己の行動や態度を省み、自己責任を認識する

  • 視座の変容フェーズ: 他者の視点を取り入れ、経営者的視点を獲得

論文から得た学びと活用場面

新規事業創出における経験は、管理職が自己の責任を理解し、他者との協働を通じて組織全体を見渡す視座を育むことが分かりました。また、学習は、自己中心的な考え方から、他者を巻き込み、リーダーシップを発揮する過程で進展することも示唆されています。
新規事業創出の経験は、中堅管理職の育成において重要な学習機会であり、このようなプロセスをリーダーシップ育成プログラムに取り入れてみるのも良いかもしれません。

いいなと思ったら応援しよう!