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銀行員に対する職務特性理論の適用:論文レビュー

こんにちは、原田です。
今回は、銀行員に対する職務特性理論の適用に関する論文です。

今日の論文

The Impact of Work Characteristics on Bank Employees' Motivation in Hanoi: Application of Job Characteristics’ Theory of Hackman and Oldham (1980)
ハノイの銀行従業員のモチベーションに対する職務特性の影響:HackmanとOldham(1980)の職務特性理論の適用
Dinh Son Tang, Duc Tai Do
European Journal of Business and Management, Vol.11, No.27, 2019

サマリ

  • この研究では、HackmanとOldham(1980)の職務特性理論を基に、ハノイの銀行従業員のモチベーションに対する職務特性の影響を調査

  • 150人の銀行従業員を対象に調査を実施し、Cronbach’s Alpha、EFA、相関分析を用いて独立変数(職務特性)が従属変数(従業員のモチベーション)に与える影響を分析

  • その結果、職務特性が銀行従業員のモチベーションと正の関係を持つことが確認された

  • この結果を基に、銀行従業員のモチベーション向上のためのいくつかの提言を行った

方法

  • データ収集:
    150人の銀行従業員を対象にアンケート調査を実施し、130人から回答を得た。そのうち120の回答が有効と判断された。

  • 測定変数:

    • 独立変数: 職務特性(職務の多様性、タスクの明確性、タスクの重要性、自律性、フィードバック)

    • 従属変数: 従業員のモチベーション(6項目で測定)

  • 分析手法:

    • 信頼性分析(Cronbach’s Alpha)

    • 探索的因子分析(EFA)

    • 相関分析

わかったこと:

  • 職務特性とモチベーションの相関

    • 職務特性は銀行従業員のモチベーションと正の相関がある
      (相関係数 = 0.517, p < 0.05)

  • 職務特性の評価(5段階評価の平均)

    • 職務特性全体の平均スコア:4.028

    • 6つの職務特性の平均スコア:

      • スキルの多様性(4.017)

      • フィードバックの受け取り(4.108)

      • 能力との適合性(3.925)

      • 自律性・挑戦性(3.975)

      • 仕事の重要性(4.050)

      • 仕事内容の理解度(4.092)

  • モチベーションの評価(5段階評価の平均)

    • モチベーション全体の平均スコア:3.942

    • 6つのモチベーション指標の平均スコア:

      • 現在の仕事への熱意(4.150)

      • 楽観的な姿勢(3.908)

      • 目標達成のための自己犠牲(4.042)

      • 給与・労働環境への満足度(3.933)

      • 勤務時間の柔軟性(3.683)

      • 目標達成への努力(3.933)

  • 探索的因子分析(EFA)の結果

    • KMO値:0.785(適切な因子分析が可能)

    • Bartlett検定:p < 0.000(有意)

    • 因子負荷量:すべて0.5以上(適切)

  • 信頼性分析(Cronbach’s Alpha)

    • モチベーション指標のCronbach’s Alpha:0.714(信頼性あり)

    • 職務特性指標のCronbach’s Alpha:0.822(信頼性あり)

  • 職務特性の影響

    • すべての職務特性要因がモチベーションに有意な影響を与えることが確認された

    • 特に「フィードバック」と「仕事の重要性」が最も強い影響を持つ

論文から得た学び

職務特性(スキルの多様性、タスクの明確性、自律性、フィードバックなど)は銀行従業員のモチベーション向上に重要な役割を果たすことがわかりました。特に「フィードバック」と「仕事の重要性」がモチベーションに強い影響を与えることが示唆されいています。銀行業務は高い専門性と対人スキルを求められるため、適切な職務設計と研修が必要と主張されています。

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