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役割理論のレビュー論文(2000~2020年):論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回は、役割理論に関するレビュー論文です。
役割理論とは:
個人の行動が社会的役割(性別、職業、地位など)に基づく期待や規範によってどのように形作られるかを探る理論。この理論では、各個人が社会において複数の役割を担い、それぞれの役割に付随する行動の期待が個人の行動や自己認識に影響を与えるとされる。また、他者はその個人の行動を、その役割に適合するかどうかで判断する。
今日の論文
Role Theory Perspectives: Past, Present, and Future Applications of Role Theories in Management Research
役割理論の視点:過去、現在、および将来のマネジメント研究における役割理論の応用
Journal of Management, 2022年7月
Aaron H. Anglin, Paula A. Kincaid, Jeremy C. Short, David G. Allen
サマリ
20年間のマネジメント分野での役割理論研究を統合的にレビュー
役割とアイデンティティ、仕事と家庭のインターフェース、バイアスとステレオタイプ、キャリアのライフサイクル、倫理および他者志向的行動の5つの主要テーマを特定
さらに、これらのテーマを基に今後の研究に向けた課題を提示
方法
2000年から2020年までに発表された管理学ジャーナルにおける役割理論に基づく研究を体系的に分析
キーワード検索を通じて、533件の論文が初期検索により特定され、最終的に234件の実証研究をレビュー対象とした
参考論文
Biddle, B. J. (1986). Recent Developments in Role Theory. Annual Review of Sociology, 12, 67-92.
役割理論の発展と基本的な概念を整理したレビュー論文。役割の期待、行動、役割葛藤などの基本的な要素について論じている。Eagly, A. H., & Karau, S. J. (2002). Role Congruity Theory of Prejudice Toward Female Leaders. Psychological Review, 109(3), 573-598.
ジェンダーとリーダーシップにおける役割の期待が、女性リーダーに対する偏見にどのように影響するかを示す「役割適合理論」を提唱。Biddle, B. J., & Thomas, E. J. (1966). Role Theory: Concepts and Research. John Wiley & Sons.
役割理論の基礎的な概念を体系的にまとめた書籍。役割期待、役割葛藤、役割遂行のメカニズムなど、基本的な理論を学ぶ上での重要な参考文献。
わかったこと:
役割理論に基づく研究の5つの主要テーマ
役割とアイデンティティ
役割とアイデンティティの相互作用が、役割の形成や維持に影響
企業家のアイデンティティが情熱や行動に関与
仕事と非仕事のインターフェース
仕事と家庭の役割葛藤や相互強化が強調
家庭役割がリーダーシップや仕事成功に影響
バイアスとステレオタイプ
ジェンダーによる役割期待と職業役割の不一致が女性に不利
女性起業家はクラウドファンディングで信頼性が評価される場合がある
キャリアのライフサイクル
キャリア進展における役割の影響を調査
女性経営者は男性より解任されやすい
倫理および他者志向的行動
リーダーの役割が不道徳行動を誘発する可能性
女性は不正告発時に報復を受けやすい
論文から得た学びと活用場面
役割理論に基づく研究の動向や主要テーマがわかりました。特に、ジェンダーに関連する社会的役割の影響についての理解が進んできているようです。
ダイバーシティ・インクルージョンの施策の参考になりそうです。