イノベーション促進行動(IPB)の提唱:論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回は、イノベーション促進行動(IPB)を提唱している論文です。
従来の組織市民行動は現状維持に役立つが、経営革新を推進するためには新たな行動が必要とされるという課題感から提唱されています。
組織市民行動(Organizational Citizenship Behavior, OCB):
従業員が正式な職務要件に含まれていない行動でありながら、組織の効果的な機能を促進する自発的な行動。Organ(1988)によって提唱。
今日の論文
Spontaneous behavior for promoting organizational innovation: Extension of the organizational citizenship behavior
企業の経営革新を促進する従業員の自発的行動について:組織市民行動を越えて
Kyushu University Psychological Research, 2008
Koichi Takaishi, Hisataka Furukawa
サマリ
組織市民行動(OCB)などの自発的行動に関する主要な先行研究をレビューし、OCBの概念に焦点を当てた。特にOCBが現状維持には貢献するものの、イノベーション促進には必ずしもつながらない点に着目し、新しい概念である「イノベーション促進行動(IPB)」を提唱
この行動は、問題解決、創造的提案、情報収集、顧客志向、経営への働きかけなどの行動パターンで構成されている
方法
先行研究を基に、組織市民行動やプロ社会的組織行動、役割外行動などの自発的行動の構成要素を分析
さらに、企業の経営革新を促進するための行動パターンを提案
わかったこと:
新たな概念「イノベーション促進行動(IPB)」は、5つの行動パターン(問題発見と解決、創造的提案、情報収集、顧客志向、経営への働きかけ)で構成され、従来の組織市民行動を超える革新性を有することが示された。
問題発見と解決行動
自分の業務に関連する問題点や課題を発見し、より効率的に業務を改善・改革しようとする行動創造的提案行動
組織の改善や新しいアイデア、方法を提案する創造的な行動情報収集行動
社内外の重要な情報を収集し、変化する環境や市場動向を把握するための行動顧客志向行動
顧客のニーズや要求を優先し、顧客の満足を得るために自発的に対応する行動経営への働きかけ行動
経営方針や組織の運営に対して積極的に提言を行い、変革を促す行動
論文から得た学びと活用場面
イノベーションを推進する新しい行動概念であるIPBが提唱されていました。
特に、図1などプロアクティブ行動など、いわゆる自律人材とはどんな行動を意図しているのかの整理に役立ちそうです。