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グループでの認知的・神経的多様性のレビュー論文:論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回は、認知的・神経的多様性に関する論文です。
認知的多様性 (Cognitive Diversity):
グループ内のメンバーが持つ知識、スキル、経験、価値観、信念、思考スタイル、専門分野、教育背景など、情報処理や問題解決の方法に関する個人差
Schilpzand & Martins (2010)、Mello & Rentsch (2015)
神経的多様性 (Neurodiversity):
ADHD(注意欠陥・多動性障害)、ディスレクシア(読字障害)、自閉スペクトラム症などの神経学的診断を持つ個人の違い
Doyle (2020)、Hunt & Jaeggi (2022), Taylor & Vestergaard (2022)
今日の論文
Cognitive and Neurodiversity in Groups: A Systemic and Integrative Review
グループにおける認知的および神経的多様性: 系統的および統合的レビュー
Small Group Research, 2024年
Jan van Rijswijk, Petru Lucian Curșeu, Lise A. van Oortmerssen
サマリ
グループにおける認知的および神経的多様性に関する文献をレビューし、グループプロセス、創発的状態、および結果に関連する影響を調査
収束および分散のプロセスの利得と損失の分類法をもとに、経験的研究結果の統合的なフレームワークを提案し、グループ内の水平および垂直的な差別化として認知的および神経的多様性を区別
垂直的な差別化として概念化された場合、これらの多様性は主に分散的なプロセス損失を引き起こし、水平的な差別化として概念化された場合は収束および分散のプロセス利得を引き起こす
方法
本研究は、PRISMAガイドラインに基づく系統的レビューを実施するものである
レビュー対象期間は、1995年から2023年まで
最終的なサンプルは71件の論文で構成される
わかったこと①:
水平および垂直の差別化がグループプロセスに与える影響
水平的差別化 (Horizontal Differentiation):
ループ内のメンバーが持つ専門知識、スキル、経験、バックグラウンドなどの多様性の程度
垂直的差別化 (Vertical Differentiation):
グループ内のメンバー間での地位や権力、階層的な差異
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水平的差別化の高いグループは、情報の共有と協力のプロセスが促進されることが多いが、対立や意見の相違も発生しやすい
垂直的差別化が高いグループでは、リーダーによる意思決定の集中が起こりやすく、少数派の意見が無視されることが多いが、迅速な意思決定が可能となる
わかったこと②:
グループ成果に対する認知的および神経的多様性のフレームワーク
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多様性の高いグループでは、様々な視点からの意見が統合され、創造的なアイデアや革新が促進される
一方、多様性が高いグループでは、意見の対立が多発し、関係性の対立や社会的調和の欠如が生じることがある
論文から得た学びと活用場面
水平的および垂直的な差別化の区別を行うことによって、認知的および神経的多様性がどのように異なる条件下でグループのダイナミクスや成果に影響を与えるかが理解しやすくなりました。