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境界のないキャリア(The Boundaryless Career)とはなにか:論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回は境界のないキャリア(The Boundaryless Career)を提唱した論文をご共有します。
従来のキャリア研究は、主に大企業における安定した長期雇用と組織内での昇進やキャリア発展を前提としていました。この「組織内キャリア」モデルは、安定した経済環境やヒエラルキーを前提としており、労働者は一つの企業内でキャリアを築くという考え方に基づいています。しかし、経済や組織の変化により、短期的・流動的な雇用が一般化し、労働者は組織境界を越えたキャリア形成が求められるようになったそうです。
今日の論文
The Boundaryless Career: A New Perspective for Organizational Inquiry
境界のないキャリア:組織研究のための新しい視点
Journal of Organizational Behavior, 1994
Michael B. Arthur, Denise M. Rousseau
サマリ
「境界のないキャリア」という新しい概念を提唱し、従来の組織内キャリアとは異なるキャリアのあり方を提示
境界のないキャリアは、組織境界を超えて進展するキャリアのことを指し、雇用形態の変化に伴い、個人のキャリアがどのように進化するかを探るための新たな視点を提供
方法
従来のキャリア研究に対する批判的なレビューを行い、「境界のないキャリア」の概念を提唱するために、複数の実証データや理論的な議論を取り入れています。特に、中小企業の役割や雇用形態の変化を通じてキャリアがどのように展開しているかに焦点を当てています。
わかったこと:
境界のないキャリアは、従来の大企業内でのキャリアパスに依存せず、個人が自らのスキルやネットワークを活用してキャリアを進展させることが可能である
キャリアの流動性が増し、個人は複数の組織や業界を横断してキャリアを形成する傾向が強まっている
大企業のキャリア階層に頼らず、外部のネットワークや市場からの評価によってキャリアが進展するケースが増えている
労働市場全体で、雇用機会が大企業だけでなく中小企業にも分散しつつあり、企業間のキャリア移動が重要な要素となっている
組織と個人の関係がより柔軟になり、個人がキャリアを自律的に管理する必要性が高まっている
論文から得た学び
境界のないキャリアは、従来の組織キャリアとは異なり、個人のスキルやネットワーク、学習を通じてキャリアが展開されることを強調しています。これにより、組織と個人の関係はより流動的になり、個人が自らキャリアを管理する必要性が高まっています。