
仕事の再設計と動機付け:論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回は、仕事の再設計と動機付けに関する論文です。
今日の論文
Work Redesign and Motivation
仕事の再設計と動機付け
Professional Psychology, Vol. 11, No. 3, June 1980
J. Richard Hackman
サマリ
仕事の再設計(ワークデザイン)は、組織の生産性向上や従業員の仕事経験の質の向上を目的として行われる
本論文では、仕事の再設計に関する4つの理論的アプローチ(活性化理論、動機づけ-衛生理論、職務特性理論、社会技術システム理論)を比較し、仕事の再構築によって期待できる成果について議論
また、仕事の再設計に関する未解決の問題点や、既存組織における導入上の課題についても言及
方法
仕事の再設計に関連する4つの主要な理論をレビューし、それぞれの特徴や違いを明確にする
さらに、仕事の再設計がもたらす可能性のある成果について、過去の研究をもとに評価を行う
わかったこと:
活性化理論(Activation Theory)
単調な仕事は従業員の覚醒レベルを低下させ、注意力や反応の低下を引き起こす
解決策としてジョブ・ローテーション(職務の輪番制)が提案されるが、効果は一時的なものにとどまりやすい
動機づけ-衛生理論(Motivation-Hygiene Theory)
ハーズバーグの二要因理論によると、仕事に内在する「動機づけ要因」(達成感、責任、成長機会など)が満たされると満足度が向上するが、「衛生要因」(給与、労働環境、上司の態度など)が改善されても動機づけにはつながらない
この理論は、実務家に広く受け入れられているが、理論的な妥当性については議論がある
職務特性理論(Job Characteristics Theory)
モチベーションを高めるために必要な職務特性として、「技能多様性」「タスクの完結性」「タスクの重要性」「自律性」「フィードバック」の5つが挙げられる
これらの要素を強化することで、従業員のモチベーションや職務満足度が向上することが予測される
社会技術システム理論(Sociotechnical Systems Theory)
個々の職務ではなく、組織全体の仕事の仕組みを再設計することに焦点を当てる
従業員の自律的なチームによる仕事の遂行(自律的作業グループ)が鍵となる
論文から得た学び
仕事の再設計は、従業員のモチベーションと満足度を高め、生産性や品質向上を目指す手法であることがわかりました。4つの理論があり、組織の状況に応じた設計が重要と主張されています。また、管理職の役割変化や経済的効果の測定が課題と示唆されています。