知識の再結合(リコンビネーション)アプローチ:論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回は知識の再結合(リコンビネーション)アプローチのレビュー論文です。
知識の再結合(リコンビネーション)アプローチ:
既存または新規の知識コンポーネント(各ドメインの知識を明確にすることで、探索空間を縮小することを目的とした学習手法)を組み合わせて、イノベーションを生み出す理論的な枠組み
このアプローチは、各知識コンポーネントが独自の科学的または技術的な概念に基づいており、これらのコンポーネントの相互作用によって新しい意味や機能が生まれ、それがイノベーションの基盤となるという考え方に基づいている
参考論文:
シュンペーター(Schumpeter, 1934, 1939):「イノベーションとは既存の要素を新しい方法で組み合わせることから生まれる」という観察に由来
ガルニック & ロダン(Galunic & Rodan, 1998)、ネーカー(Nerkar, 2003)、シェーン(Shane, 2000)らの研究でも、この理論が発展
今日の論文
A Knowledge Recombination Perspective of Innovation: Review and New Research Directions
知識の再結合視点によるイノベーション: レビューと新たな研究方向
Journal of Management, 2021
Ting Xiao, Samina Karim
サマリ
イノベーションを理解するための理論的枠組みとしての知識の再結合(リコンビネーション)アプローチをレビューし、新たな研究方向を提示
知識の再結合論理に基づき、イノベーションは科学的または技術的概念に関連する知識コンポーネントを再結合することで生み出される
本研究では、このアプローチの進展を検証し、コンポーネントの特徴、再結合プロセス、及びその成果を分析
方法
過去20年間の管理学トップジャーナルに掲載された関連論文1,061本を収集し、そのうち298本を分析し、最終的に124本をレビュー対象とした
再結合プロセスの進化を、知識コンポーネントの特徴、セット、アーキテクチャに基づいて分析
わかったこと:
知識再結合文献の概念的枠組み
知識コンポーネントの特性。ここでは既存の知識コンポーネントか、新たに使用されたコンポーネントかという「新しさ」が強調されている
コンポーネントのセット。再結合における幅広さや深さ、モジュール性などの特徴が議論されている
コンポーネントのアーキテクチャ(構造)。異なるアーキテクチャがイノベーションにどのように影響を与えるかが示されていますが、この領域はまだ十分な研究がなされていないことが強調されている
イノベーションの成果。特に、再結合された知識がもたらす「新規性」と「有用性」の関係に焦点を当てている
論文から得た学びと活用場面
知識コンポーネントの特徴として、「既存の知識」「新規性」「コンテキスト依存性」が、再結合において重要な役割を果たすことが確認されました。
企業のイノベーション戦略の構築などに活用できるかもしれません。