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ジョブおよびタスクローテーションに関するメタ分析:論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回は、ジョブおよびタスクローテーションに関するメタ分析です。
ジョブローテーションやタスクローテーションと聞くと、多くの企業や組織が従業員のスキル向上やモチベーション向上に役立つことを期待し導入しているかもしれません。しかし、実際にはそれらの効果はどの程度確かなものなのか‥?という論文です!
今日の論文
More Hype Than Substance? A Meta-Analysis on Job and Task Rotation
実態よりも誇大広告?ジョブおよびタスクローテーションに関するメタ分析
Frontiers in Psychology, 2021年
Lisa Mlekus, Günter W. Maier
サマリ
ジョブおよびタスクローテーションが従業員の態度、学習、健康、組織パフォーマンスに与える影響をメタ分析によって調査した
ローテーションのデザイン(ジョブローテーション対タスクローテーション)や文化的背景を考慮し、その効果の違いを解析
方法
56の研究(総サンプル数284,086人)を対象に、3レベルのメタ分析を実施
ジョブローテーションとタスクローテーションを区別し、その効果を調査
わかったこと:
各アウトカムに対するローテーションの効果
職務満足度 (Job Satisfaction):
ローテーションは職務満足度と中程度の正の関連 (r = 0.27) を示した。ローテーションを実施している従業員は、実施していない従業員に比べて職務に対する満足感が高い傾向があることが確認された組織へのコミットメント (Organizational Commitment):
組織へのコミットメントとも有意な正の関連 (r = 0.16) が認められた。ローテーションを経験することで、従業員は組織に対して強い帰属意識を持つ傾向があると考えられるキャリア成功 (Career Success):
ローテーションはキャリア成功 (r = 0.31) と強い正の関連を示し、ローテーションがキャリア成長に大きく寄与していることが示唆された労働柔軟性 (Labor Flexibility):
ローテーションは労働柔軟性 (r = 0.32) に対しても強い関連を示した。これにより、異なる業務や役割に柔軟に対応できる従業員の増加が確認された心理的健康 (Psychological Health):
ローテーションは心理的健康とも正の関連 (r = 0.20) を持ち、仕事の変化や多様性が従業員の心理的なウェルビーイングを向上させる可能性があることが示されたストレス/燃え尽き症候群 (Stress/Burnout):
ローテーションはストレスや燃え尽き症候群の減少 (r = -0.13) と負の関連が認められ、単調さを避けることが従業員のストレス軽減に寄与していると考えられる個人のパフォーマンス (Individual Performance):
個人のパフォーマンス (r = 0.13) も向上しており、ローテーションが従業員の業績にポジティブな影響を与えることが確認された生産性 (Productivity):
ローテーションは生産性とも正の関連 (r = 0.13) を持ち、組織全体の効率性向上に寄与していることが示された身体的健康 (Physical Health):
身体的健康に対するローテーションの効果は、高強度の作業と比較した場合に正の関連が確認された。ローテーションにより、従業員の身体的な疲労が軽減され、筋骨格系の健康が守られる可能性が示唆された
論文から得た学びと活用場面
ローテーションは従業員の職務満足度や組織へのコミットメントを向上させ、心理的および身体的健康にも良い影響を与えることが確認されました。しかし、期待されたほどすべてのアウトカムで顕著な効果が見られたわけではなく、特定の条件下でのみ効果が発揮される可能性があることが示唆されています。
ローテーション制度を検討する際は、狙うアウトカムをイメージした上で、適切な考課が発揮されるかの確認をする必要がありそうです。