組織におけるインクルーシブ・リーダーシップの多層的フレームワーク:論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回は、組織におけるインクルーシブ・リーダーシップの多層的フレームワークに関する論文です。
インクルーシブ・リーダーシップとは:
従業員が心理的安全性を感じ、自律性を発揮し、能力感を持ちながら、組織やチーム内での帰属意識を育むよう促進するリーダーシッププロセス。また、これは多様性の文脈において、従業員の多様な視点を尊重し、それを組織的成果に結び付けるための適応的かつ柔軟なアプローチを含む
参考論文
Nembhard & Edmondson (2006). リーダーの包括性が心理的安全性に与える影響を分析
Randel et al. (2018). 帰属意識と個性の尊重を通じたインクルーシブ・リーダーシップの効果
Nishii (2013). ジェンダー多様性グループにおける包括的風土の利点を検証
今日の論文
A Multi-Level Framework of Inclusive Leadership in Organizations
組織におけるインクルーシブ・リーダーシップの多層的フレームワーク
Group & Organization Management, 2022
M. Nishii, H. Leroy
サマリ
この研究は、組織におけるインクルーシブ・リーダーシップを個人、チーム、組織の3つのレベルで捉えるフレームワークを提案
各レベルでのリーダーシップがどのように相互に関連し、インクルージョンを促進するかを明らかにするための具体的なプロセスが論じられている
方法
フレームワークは、既存の文献と理論モデルを基にして構築
個人レベル、チームレベル、組織レベルの各リーダーシップ行動を、プロアクティブおよびリアクティブなプロセスとして分類し、それらの役割を分析
わかったこと:
インクルーシブ・リーダーシップは、多層的(個人、チーム、組織)なプロセスであり、各レベルでのリーダー行動が重要である
個人レベルでは、リーダーが従業員の心理的安全性、帰属意識、自律性、能力感を促進することでインクルージョンを高める
チームレベルでは、リーダーは多様性を活かした情報の共有と意思決定を促進し、ネガティブなダイナミクスを最小化する役割を果たす
組織レベルでは、トップリーダーの政策や文化が、現場のリーダー行動と連携してインクルージョンの文化を醸成する
各レベルでのリーダーシップ行動が相互作用し、多様性がポジティブなパフォーマンス効果をもたらすためには、一貫した調整が必要である
リーダーの柔軟な適応と継続的な行動調整が、インクルーシブな環境を構築する鍵である
論文から得た学び
インクルーシブ・リーダーシップは、心理的安全性、帰属意識、自律性、能力感を高める行動を通じて、個人およびチームのパフォーマンスを向上させる可能性が示されました。また、組織レベルでは、トップリーダーの政策や文化が中間リーダーや現場の行動に大きな影響を与えることが確認されました。