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「地球の恋人たちの朝食」雪舟えまを読んでる。

 わたしが、短歌を好きになったきっかけは、雪舟えまの短歌と出逢ったことだった。その時の衝撃はすごかった。今までの人生の中で、あんなに言葉が愛おしいと思ったのは初めてで、その歌集を抱きしめて帰ったことを覚えてる。
 最近になって、「地球の恋人たちの朝食」が20年越しに刊行されると知った。特典のポストカードとサインが入ったものがどうしても欲しくて、ネット検索で出てきた北海道にある本屋さんで購入した。それからというと、毎日仕事のお昼休憩になっては、ちらちらメールボックスを更新して、発送メールを待った。発送メールが届くと、毎日郵送番号を検索してた。わたしが待ち焦がれているその本は、小樽の郵便局屋さんから運ばれてきた。
 2001年から2008年まで残された作品は、本のページを2分割して452ページに詰め込まれていた。今朝届いてから読み始めて、今は2003年の2月21日を、読んでいる。改めて、本当に、本当に、文章がとにかくかわゆくて、ときめく。言葉選びというか、愛が一つ一つ、言葉になって、星みたいにきらきら散りばめられている。センスとか才能とか、あんまり難しいことを言いたくないぐらい、まっすぐな表現で教えてくれる。

2001/08/02 ラメ
ラメ工場ではたらきたい
夕方には ラメまみれのからだで逢いたい
抱きしめられて ラメになりたい
女の人たちの肌や爪を彩り
その恋人たちに綺麗だといわれて
ラメは天に帰りたい
おしえてあげたい
ラメはだれかの骨の粉
宇宙中の女のためのひとばしら
愛とはかがやきのこと
誰かの骨の粉

地球の恋人たちの朝食 雪舟えま

 いろんな登場人物が出てきて、地球も宇宙も出てくる。宇宙船を奪われたときの会話もあるし、黒うさぎが10等身の少年になったときの会話もあるし、職場の事務の人とにしん蕎麦に行くときの会話だってある。リアルで読もうとすると、わけがわからなくなって、変なのって言う人はいると思うし、手紙魔パワーに圧倒されて、わたし自身も読んでて不思議な気持ちになる。でももっともっと読みたくなる。カラースプレーを散りばめたlady bordenを、スプーンで掬って口に運ぶように、1つの文章、1つの言葉に、散りばめられた愛を目に留めては、読み進める。


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