北國浩二 『嘘』読了
昨年「かくしごと」というタイトルで映画化して気になっていた 『嘘』を読みました。
作品情報
【タイトル】
噓
【著者】
北國 浩二
【出版社】
PHP研究所
あらすじ
感想
泣いた。めちゃめちゃ泣いた。
最初はこんな泣く物語だと思わなかった。
事故のシーンで自分勝手な久江にうんざりし、そのあと、後先考えない千紗子にさらにうんざりし…絶縁状態の父は認知症だし記憶喪失の少年は虐待されていた形跡があるし、千紗子は息子と死別してるし、いろいろ盛りだくさんでこれ収拾つくのか??というのが読み始めの感想でした。
でも、認知症の父親と記憶を失っている少年は「記憶」をめぐる観点で見るとうまく重なっているし、少年がいたからこそ深まった関係性、それに比例して進行していく認知症、それらが主人公の固い心を少しずつほどいていき、収拾つくどころか繋がりが美しい物語です。元夫や死別した息子とのエピソードもこの少年の存在の必要性を表しているし、無駄に盛られたような箇所はなく、全てが必要なものだと感じました。
事故のシーンで自分勝手な久江にうんざりし、そのあと、後先考えない千紗子にさらにうんざりし…と冒頭で思った件についても、結末を読んでそんな気持ちはふっとんでしまいます。
ラストも美しく、しばらく余韻に浸って他の本を読む気にならなかったです。
映画の方は見てないですが、ネトフリとかでやるのかな…
原作読んだ人からもわりと評判みたいだから見てみたいな。
いいなと思ったら応援しよう!
よければ応援お願いします。