Web広告運用者に求められるスキルは増えているのか
先日、次のようなツイートをしました。
思いのほか反響があったので、共感してくれる方が多かったのかなと思いましたので、もう少し深堀りしてみました。
私が「年々、求められている能力が上がっている気がする」と述べた理由は、次の3つに集約されます。
1.Web広告ができることに限りがある(数ある分野の1つに過ぎない)
2.運用「代行」の定めとして営業的要素は避けられない
3.媒体の進化により誰でもある程度結果を出せるようになっている
それぞれについて、もう少し思うところを書いていきます。
Web広告運用者の守備範囲
※このツイートは、決して広告運用初心者を煽る意図があって発したものではないことを、予めご理解ください。
Googleのリスティング広告やFacebook広告の運用者には、広告媒体の知識や実運用スキルが必要なのはいうまでもありませんが、広告運用の仕事をしていく上で、どうしてもぶつかる問題があります。
それがツイート上に挙げた、Web解析スキル、営業スキル、サイトページの改修や改善、といった内容です。
Webマーケティング施策において運用型広告ができることは、検索エンジン利用者やWebサイト閲覧者、SNSを眺めてるユーザー等を広告のリンク先ページへ集客すること。
つまり、ページ流入後にユーザーさんがどういう行動をとったか、そもそもどのページから入ってきたか、どんなキーワードで入ってきたかを、仮説を立てて実証・検証するのが最低限の守備範囲になります。
Web広告はWebマーケティングのごく一部でしかない
すなわち、Web広告はあくまでも「集客」の部分で、しかもSNSやSEOなど数ある集客方法のうちの1つにすぎません。Web広告はWebマーケティングのごく一部でしかないんですね。
そのため、集客目的や達成したい内容によっては、Web広告よりも最適な手段はありますし、検索広告を用いて集客するならSEOもセットで取り組んだ方が良かったり、といったケースもあります。
ひどい会社だと、採算が取れないことがわかっているにも関わらずECサイト制作&広告出稿といった案件もあります(これは実際に出くわした案件でした。なぜ社長が引き受けたのか全く理解できませんでしたが、、)。
広告運用の限界を知った時、必要な課題が見えてくる(営業とか)
ある程度Web広告媒体を用いて集客施策に取り組んでいくことで、Web広告による集客の限界だったり、広告と関連する解析やコンバージョン測定のためにプログラミング言語の理解が必要になってくる人もいます。
また、Web広告代理店に勤めている場合、運用をお願いしている企業が必ず存在しており、そしてクライアント企業が必ずしもWeb広告に明るいとは限りません。
そのような場合、広告媒体の知識や運用の結果をクライアントに分かりやすく説明したり、運用した結果によって何がどうなったか、どういったデータが得られたかを報告したりする必要もあります。
特に広告主側の担当者も代行による結果を求められるため、広告運用者と直接やりとりしたいというニーズも非常に強いです。
すなわち、広告の運用者は営業的な要素やヒアリング、コンサルティング業務にも足を突っ込むことになります。
更に広告媒体の進化も追い打ちをかけている
更に、GoogleやYahoo、Facebookといった広告媒体も、年々技術が進化して、誰でも運用がある程度やりやすくなってきています。例えばGoogleの場合だと、「最適化案」といった形で、「こうすると良いですよ」といった提案を自動でしてくれるようになります。
もちろんその提案が必ずしも全ての人にとって正しいとは限らないですし、クライアントさんの都合などにより対応できないケースもあります。
ですが、かつて求められたかなり職人的な(マッチタイプも含めた)キーワード選定やターゲティング設定技術は、今ではだんだんと減ってきているのではと感じているのも事実です。
5年くらい前と比較すると、媒体側が推奨する最適なアカウント構成やキーワード設定も変化してきています。Hagakureと呼ばれるアカウント構成も、私が知る限り2017年頃から出てくるようになりましたし。
そのため、その辺りのアップデートをしないと、いつまでも古い考えや知識のまま運用を行ってしまうこともあり、もっと結果を改善できる余地があっても、その可能性を閉ざしてしまうことにもなりかねません。
でもまぁどんな仕事でも同じですよね
話があっちこっち言ってしまいましたが、改めてまとめると、
1.Web広告のできることの限界を知ったこと
2.代行運用の場合、クライアントとのコミュニケーションが欠かせない
3.テクノロジー発達による広告媒体の進化
要するに、広告の運用という仕事を深堀りしていくことで、管理画面を見てのオペレーションだけではクライアントの課題を解決できない壁にぶつかるよね、という話。だからこそ、広告運用も年々求められる仕事が増えているなと、そう感じたわけです。要するにポジショントークなわけです。
でもこれって、エンジニアやデザイナーでも同じだと思うんですよ。
作る前の設計段階に課題があったり、そもそもWeb制作したりシステム開発をゼロから始めることがそもそも正しいとは限らない案件もありますし。
なので、求められるスキルが増えると感じるのは、技術的な進化はもちろん、仕事を通じてこれまで見えなかったことが見えるようになったことの証左とも言えるのではないかと。
なので、いろんなスキルが必要だーと必要以上に焦るのではなく、今の自分にとって必要なことは何か、最優先すべきことは何かを考えて、少しずつ身につけていくしかないんじゃないかなーと思った次第です。
人によっては、広告の運用スキルや広告媒体の知識を深めることの優先度が高い人もいますし、Excelをもっと効率よく使えるようになることが課題の人もいるはずですからね。
というわけで、書きたかったことはだいたい書けました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。