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法人設立③法人口座を開こう【D2C企業立ち上げのほぼ全部】
こんにちは、がぱけん(@gapaken335)です。
家電メーカーでマーケティングとして働く傍らD2C企業の代表を務めています。
このnoteは、シリーズ「D2C企業立ち上げのほぼ全部」のひとつ。
会社員が会社に勤めながらD2C企業を起こすプロセスを、気持ちや戦略策定から事務処理まで細かくまとめて行こうという企画です。
各記事へのリンクを整理したまとめ記事はこちらなのでよかったらみていってください。
今回は、法人設立までのプロセスその③です。法人口座の選び方、開設、そしておまけとしておすすめの法人カードについても紹介しようと思います。
法人設立ののち、まずやることは法人口座の開設です。経費の支払いも、売上金の入金も銀行口座なしではできません。
振り返りとして前回のお役所周り&事務手続き編も以下に貼っておきますのでよかったら見ていってください。
ここまでで、法人が登記されてちょっと浮かれている状態です。しかしながら、ここから先はやれば100%進む事務手続きではなく、双方に利益があることを示す必要が出てくる"取引"の世界です。
少しばかり気持ちを引き締めたうえで先に進みましょう。
それでは本題に入りましょう。
法人口座を選ぶ基準は?
金融機関と一言で言っても様々なタイプが存在します。
UFJやみずほなどのいわゆるメガバンク、スルガ銀行や横浜銀行などの地銀、各地域に根差している信用金庫、楽天銀行やGMOあおぞらなどのネット銀行など、当然ながらそれぞれに若干特徴が異なり、目的に応じた最適な金融機関が存在します。
まずはその判断軸から整理していくことにしましょう。
法人から金融機関に期待することは主に3つです。
①取引基盤
②融資
③信用向上
①取引基盤
その名の通りの活用です。売上金の入金先や、支払時の振り込み元としての利用です。個人での使いかたと非常に近いですね。この項目だけで考えるといかに簡便に、安い手数料で送金などが行えるか?が重要なポイントです。
②融資
法人にとって、融資元の確保はとても重要です。大きな投資をしたいとき、運転資金が厳しくなってきた時などに交渉できる先を確保しておくことは経営の自由度を広げます。融資審査の緩さ、利子率がポイントです。
③信用力向上
金融機関や、法人との取引の場合、信用がとても重視されます。「大手の銀行とのお付き合いがある」という事実は間接的ではあるものの、一定の信用向上に寄与します。この観点ではより大手の金融機関での取引実績がある方がよいでしょう。
それぞれの金融機関の特長は?
判断軸が分かったところで、それぞれの金融機関とそれらの軸を整理していきましょう。
特徴を以下の表にまとめてみました。
※あくまで目安です
この表を見てまずわかるのは、すべてが○の金融機関は存在しないということです。メガバンクは信用は抜群にあるのですが、中小規模の法人に対しての融資はまず行いません。
反対に信用金庫は利便性や手数料はイマイチですが、中小企業への融資の姿勢は手厚いものがあります。
ネットバンクは、利便性は高く、取引手数料は押さえられますが、大き目の融資は引き出せないし、利子率も高く、信用も低いです。
地銀はそれぞれの中間といったところでしょうか。
僕がおすすめする法人口座の使い分け
最強の銀行がないなら結局どこの銀行と取引したらええねん!というあなた。
落ち着いてください。
何か課題にぶつかったときの原則は「困難は分割せよ」です。
(僕の好きな言葉の一つです。デカルトが唱えたそうな。)
すなわち、取引、融資、信用三つの機能それぞれで法人口座を使い分ければ問題は解決するのです。
手数料が低く、利便性が高いネットバンクを費用の支払い口座に、信用が高いメガバンクを取引先からの売上入金口座に、そしてネットバンキングでできない費用の支払いや、いざというときの融資元として信用金庫を活用する。
こういった布陣であればそれぞれのデメリットを打ち消しながら運用をすることができます。
通常のスキームとしては以下のようなイメージです。
この形であれば、そこまで複雑なオペレーションにもならないはずなので、管理コストも大きくなりすぎないはずです。是非参考にしてみてください。
法人口座開設は甘くない
ここまで、「こんな形で運用できるといいねー」という話をしてきましたが、実際に口座を開くためには各銀行の口座開設審査に通る必要があります。
そして、この審査、開業したてだと結構落ちます。
実際私も地元の信用金庫の口座を開設しようとしたときに審査に落ちてしまいました。その時は事業内容や計画をほぼ聞かれずに「お取引はできません」という結果だったので、あれはまさしく門前払いだったのだなとしみじみ思います。
ただし、物事にはやり方があるもので、正しい手順を踏めばぐっと審査が通りやすくなるのです。今後僕のような悲しい人間を増やさないためにも情報をまとめていこうと思います。
どうやったら審査に通りやすくなるの?
まずは、それぞれの金融機関タイプごとの審査の通りやすさを抑えておきましょう。
一般的に左から通りやすい順に並べると
ネットバンク >> 信用金庫 > 地方銀行 > メガバンク
といった傾向です。イメージ通りですね。
そして、審査に通るために必要なのは信用ただ一つです。
基本的に設立したての法人というのは信用がありません。
悪意を持って設立された法人にうっかり口座を開けてしまうと犯罪などに利用されることもありますし、設立した会社を故意に破産させることで個人が利益を得る手口も存在します。
どこの誰だかわからない人間が「口座作っておくれ~」とドアをたたいたとしてもすぐには口座を開けないのも当たり前のことです。
では、どのような手順を踏めば審査に受かる確率が上がるのか、具体的に四つご紹介しましょう。
①すでに口座を持っている経営者に紹介してもらう
これが最強の一手です。周りに該当しそうな人がいたら今すぐ連絡しましょう。
信用を見せる時に「人の紹介」というのはとにかく強力です。なぜなら紹介者、被紹介者それぞれよくふるまわざるを得ないからです。
紹介者は悪質な人を紹介すれば自分の評判を落とすし、被紹介者も正しくふるまわなければ紹介者の顔に泥を塗ることになる。
紹介者の信用を担保とすることができるので、銀行側も安心して話を聞くことができます。
僕は知人の紹介で、設立直後売上ゼロの状態でメガバンクの口座を開くことができました。
②売上や取引実績を貯める
これは正攻法です。本ケースにおける「信用」とは「お金を貸した時にしっかりと期日通りに返済される確率」と言い換えることができます。
その実力を定量的に見せるため、しっかりと毎月売上が立っていること、利益が出ていることを証明しましょう。事業としての実体があり、定常的に顧客から入金されている実績は信用に大きく関わります。きれいな財務諸表は正義です。
③審査の緩いところから口座を開く
とはいえ、「売上を立てるための口座がないんじゃい!」という方。
そんな方のためのネットバンクです。
ネットバンクにも審査の厳しさの濃淡はあると思いますが、比較的安易に口座を開設することができます。
僕自身、法人設立の翌週(もちろん取引実績なし)の状態でGMOあおぞらネットバンキングに口座開設申請を出しましたが、3日間程度で審査が終了し、無事口座を開くことができました。
おそらく現段階ではGMOあおぞらはよっぽど問題がない限りほぼ通るんじゃないかと思います。実店舗を持つ金融機関はこの口座で修行を積んだのちに再チャレンジしましょう。
また、他の銀行で法人口座を持っているという事実も信用ポイントには響きます。人間は、自分の判断が正しいという安心材料が欲しい生き物なのです。
④事業計画書を用意しておく
これは門前払いを突破した後の話です。
口座を開く以上、どんな事業を行うのか?その事業は成功しそうか?どういうスケジュールで黒字化するのか?等をしっかりと説明する必要があります。
そんな時に役に立つのが事業計画書です。
事業計画書の内容についてはこちらの記事にまとめているのでよかったらご覧ください。
はじめての融資は日本政策金融公庫へ
少し話がズレますが、初めての融資は日本政策金融公庫にまず行きましょう。
ここは政府100%出資の金融機関で、日本企業の基盤を整備することがミッションです。なので、開業当初の状況でも「新企業育成貸付」という名目で低金利で融資を受けることができます。
ただし、その融資の入金先として、ネットバンクが不可とされているようなので、融資を検討する場合はその着地先の法人口座を持っている必要があります。
融資が下りた後に、その事実を持って口座を開くというルートもアリなようですね。
法人カードを作ろう!
交際費や、消耗品の購入など、何かと便利な法人カード、とりあえず一枚くらいはあった方が何かと便利なので作ってしまいましょう!
こちらには開業当初としておすすめなものを三つ紹介しておきます。基本的に法人としての信用がまだたまっていない状態でも発行ができる可能性が高いものを中心にピックアップします。
①GMOあおぞらデビットカード
公式サイトより
GMOあおぞらの口座を開くと自動で付与されるデビットカードです。
クレジットカードの魅力は基本的にマイルやポイントの貯めやすさ、付帯サービス、ステータスなどだと思いますが、このカード、そのあたりは全く期待できません。それでもここに載っているのはデビットカードならではの費用管理力です。デビットカードは使用した瞬間に口座から費用が引き落とされるので、費用がリアルタイムに管理できます。
開業当初の費用のかけ方の多くが手探りです。どのくらい費用をかけるべきなのかの肌感覚を早めにつかむためにもリアルタイム管理性を重視するというのはアリなのではないでしょうか?
キャッシュコンバージョンサイクルとしてはよろしくない回し方ですが、開業当初からそんなリスクのあるキャッシュの回し方をすることも少ないので問題ないでしょう。
②セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード
公式サイトより
「なんだプラチナのアメックスなんぞ出しおって、法人信用ゼロでも行けるって話じゃなかったのかよ!」という方、ご安心ください(?)。このカードはただのちょっといいセゾンカードです。
このカードのいいところは高めの還元率でJALマイルが貯められるところと、ラウンジなどの付帯サービスが充実しているところですね。法人カードで切る可能性が高くて金額が大きいのが旅費・交通費ですからね。出張が多い方は十分ペイできるんじゃないかと思います。
ちなみに審査は個人の信用も踏まえて行われるようで、普段からそこそこクレジットカードを使っていて、延滞などがない場合はすんなり通るでしょう。
ちなみに盤面がプラチナアメックスっぽいのでドヤれないこともないですが、内情をしっている人が見ると少し残念な感じになるのでほどほどにしましょう。
年会費は22,000円ですが、年間200万円分使うと安くなります。
③JCB法人一般カード
公式サイトより(一般カードは手前)
クレジットカードの使用方法がライトでかつ、ANAマイル派のあなたにお勧めするのがこちらです。
年会費約1300円で、ETCなど基本的な機能は網羅しており、しっかりクレジットカードとしては使えます。
正直あまり特筆することはないのですが、案外ANAマイルに変換できて年会費が安いものってないんですよね。
そんなこんなで実は僕は消去法でこのカードを使っています。
まあ、盤面もちょっとおしゃれだし僕の事業はそこまでクレカで費用を切ることも多くない(予定)のでまあいっかという気持ちです。
ちょっぴり後ろ向きな紹介ですみません 笑
結びとして
口座開設で感じたのは「ビジネスって思った以上に人とのつながりでできているんだな」という部分です。僕自身、たまたまサークルの後輩が起業していて、たまたまメガバンに口座を持っていて、たまたまツイッターで見かけて声をかけてみたというご縁がなければ今も頭を悩ませていたと思います。
「人脈」という言葉、基本的には嫌いなのですが、人とのご縁は大切にすべきことなんだなと思いました。久しぶりにいろんな友達にも会いたいなあ。
さあ、これで法人口座が開かれ、それぞれの使い分けの方針が立ち、クレジットカードも出来上がり、いよいよお金のやり取りの基盤ができました。
すごい!会社っぽいぞ!
ただ、いかに口座があろうとも売上が立たなければ意味がありません。
これからこの空っぽの口座にジャンジャカお金を入れてフィーバーすべく頑張っていきたいと思います。
読んでいただきありがとうございました。がぱけんでした。
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