「稲わら」が欲しくても…
弊社…小池精米店は米屋です。
玄米を産地から仕入れて精米して白米にし、それを一般消費者や飲食店に販売しています。
…そして日本各地の生産者さんとつながりがあります。嘘のような話ですが、北は北海道から南は沖縄まで、生産者さんと取引があります。
普通のお米屋さんではここまでネットワークの広い店は、非常に珍しいと思います。
そしてそういった米屋であるがため、時々「稲わらが欲しいのですが」という問い合わせがあります。
一般的に稲わらは、色々な使い道があります。例えば
・園芸用の敷き藁
・しめ縄
・土俵の俵
等です。
その中で、弊社への問い合わせで最も多いのは以下の二つです。
①カツオのたたきで使いたい。
②イベントや店頭でのディスプレーで使いたい。
ここで改めて稲わらとはどういったものか見てみましょう。
上の写真で私が手に持っているのが「稲」です。
逆さに持っているので、下にぶら下がっているのが「穂」です。そして手元から「穂」までの部分が「茎」です。この「穂」と「茎」の部分を総称して「稲わら」と呼びます(諸説あり)。
先ほどの「稲わらが欲しい」という問い合わせのうち、①「カツオのたたき」では「穂」は不要です。「茎」の部分だけあれば問題ありません。②「ディスプレー」については逆に「穂」が無ければ意味がありません。
いずれも時期を問わず、弊社に問い合わせがあるのですが…。
この「時期を問わず」というのが、いかに「稲刈りの実態」が消費者の皆さんに伝わっていないか、ということを物語っています。
例えば②の一例として「お祭りの飾り付けに使いたい」という問い合わせがあります。弊社においては秋のはじめごろの話なので、簡単に手に入ります。
ところがこの時期を逃すと、途端に入手困難になります。それは収穫時期が過ぎているからです。
まずこの「収穫時期を過ぎると稲わらは手に入りにくい」というところから、あまり知られていないのです。そこはちょっと驚きの部分だと思います。
そもそも、収穫時期であっても稲わらを手に入れるのは、実は簡単なことではありません。その背景には産地での収穫スタイルの変遷があるのです。
昔…それこそ昭和30年ごろまではまだ稲刈り機が普及していませんでしたので、生産者さんは手で稲を刈り取っていました。
普通は稲の根本から刈り取るため、穂だけではなく茎の部分も刈り取ります。茎も含めて刈り取りをするのは、その後の工程である「乾燥」のときに「はざかけ」をするからです。
ところが今では機械で稲刈りをします。コンバインという大型の機械です。
この機械は非常に優れモノです。刈取りをすると同時に脱穀(稲穂から籾を取り外すこと)まで行います。
と同時に刈り取った茎の部分は細かく粉砕して田んぼにばらまくのです。
この機械の登場により生産者さんは収穫の後に、まず脱穀をしなくてもよくなりました。と同時に茎=稲わらの処分に困ることもなくなりました。稲わらは粉砕されて田んぼにばらまかれるので、そこでまた土に還っていくのです。
こういった工程を目の当たりにすると、皆さんから要望のある「稲わら」は、この流れでは手に入らないことがわかると思います。
そう、「稲わら」が欲しい場合は(特に②「ディスプレー」の場合は)事前に農家さんに手で刈り取って頂かないと手に入らないのです。そのため収穫時期であれば事前に頼むだけで済むのですが(それでも産地にご苦労をかけることには違いませんが)、この時期を逃すと改めて探さないと手に入りません。
たまたま残してある生産者さんがいれば「ラッキー」です。
例えば地元のお祭りでしめ縄を綯うために残してあった…など。
いかがでしょうか?
いかに「稲わら」が貴重品か、お分かりいただけたかと思います。
それでも①「カツオのたたき」の場合は、飲食店さんは定期的に使うのでこちらとしても予想してご準備申し上げることができますが、②のようにイベントや撮影で使う場合は…非常に対応が難しいのです。
こういった問い合わせ一つ取っても、いかに産地と消費地の繋がりが希薄であるか、が分かります。
稲作については小学校5年生の社会で必ず学びます。
しかしどうせ学ぶのであればやはり現地にいって身体で感じて欲しいです。受験には役に立ちませんが、自分達が口にする「食糧」がどういった過程で出来上がるのか、現地で体験することにより、産地との壁がすーっと低くなるはずです。
「稲わらをどうやって手に入れるのか」…実は簡単なようでいて非常に大切な話につながるのです。
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「楽しくなければお米ではない!」
有限会社 小池精米店
三代目 小池理雄(ただお)
五ツ星お米マイスター
東京米スター
6次産業化プランナー(中央サポートセンター登録)
社会保険労務士
東京都米穀小売商業組合所属
東京都ごはん区メンバー
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