害獣と踊る
引力、青黛の葬列、赤熱した6枚の銀貨、石臼、よく知っている高い音いろ、竈、妄執、羽虫のうなり、せせらぎ、蜜菓子の湿り、縄、土にめり込んだ独楽、あのとき、炎、湿った香り、鉄の門、肉がある、魔術、熱病、がちゃがちゃ揺れる針葉樹林、赤毛のつむじ、枯れた声の祈り、泥濘、肉もあるし骨もあるだろさ、布片、鳥の糞、粉挽の機械、錆びて開くのに何分もかかる鉄の門、なあ、充血した六つの眼球、塩、歯列の間から細く吹き出す炎、今更の祈り、縄にさげた角笛、とかげ、肉と骨はあるが臓腑はない、さえずり、巨きな石臼、氷の杭、淫欲、黒いしみだらけの聖骸布、針葉樹林をぬける水っぽい風、飢餓、祈りの声、味覚、銅の鎖、あのときあなたがお利口だって言ってくれたこと忘れないぜ、溶け出す荷車、上下する氷の杭、喇叭、それぞれが人間と同じ皮膚をもつ羽虫のうなり、罪、肉を啄むために裂けている鳥の嘴、乳酒、おしゃべりする鉄の門の逆さまのかざり、三角の岩、舌根、ところどころ白っぽかったりさ、飛び散る布片、おいでおいで、針葉樹の枝から垂れてくる油、楽興、きしみ、鈍く光って殺気だった六つの目玉、よう、土にめり込んで停止した独楽、よく知らない眩しい高い音いろ、咀嚼、巨きなざらついた石臼、硝子のとがり飛び出した、赤い星、端の方だけ焦げている蜜菓子の湿った香り、緑青、昼日中の微睡。