味覚

寂しい蔦が小指に絡んで
振り向けば
小ぃさなお花ちゃん
笑いなよ 笑え
私はどこにもいかない

まずは花弁を少し齧って
両手を擦って
その手で顔を擦るさ
体は温かく鋭敏になる

やがて
私の肺に足をかけ
私の下顎を掴んで
私の中から
這い出すぞ 私が
私自身が
何度も孵化をする

そうして今度は
足を擦ってみて
花弁をまた齧って

もっとおぞましい
遺伝を受けた私が
そう胸一杯に
産みつけられた私が
何度も孵化をする

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