おみくじ勉強について

ある中学校の教室。今日は、定期テストが返却されたようです。

「お、英語91点。やったぜ」
「キャー、理科62点。ヤバっ!」
「美術38点、ゲロゲロ」

よく見る光景ですね。

で、多くの中学生の場合、テストに関してはこれでおしまい。点数を見てひとしきり盛り上がって、あとは今日の部活や明日の晩のテレビドラマ、今週末にある好きなアーティストのライブ配信のことなんかで頭がいっぱいになる、というのがよくあるパターンでしょうか。

たいへん、よろしくないですね。

学習に対するこういう態度を、僕は「おみくじ勉強」と呼んでいます。

「お、大吉。やったぜ」
「小吉かぁ、ビミョーかも」
「大凶じゃん、ゲロゲロ」

ひとしきり盛り上がってそれっきり。
ね、似ているでしょう?

おみくじ勉強の問題点は大きくふたつあります。


ひとつは、点数だけを見て内容の分析をしないこと。
たとえば数学のテストで、同じ80点を取ったとしても、次のふたりは80点の「質」が異なります。

・前半の計算問題ではきっちり点数を取れているが、最後の方の文章題に手が出なかった
・テストを受けた直後には手応えばっちり、見直してもなんなら文章題の立式までは正しくできていたのに、前半の問題含めて計算問ミスを連発

自分がどんな復習をすべきなのか、点数だけを気にしていてはわかりません。


そしてもうひとつ。
テストの結果は、おみくじのように偶然決まるものではありません。

おみくじで凶を引いたのがくやしくて、翌年の初詣でなんとか大吉を引くために1年間努力する人はいません。

いたら面白いけど。

「クソっ…凶…だと……」「来年こそは大吉を引いてやる!」「まずは雨の日も風の日も、毎日神社に参拝だ」「日頃から善い行いを心掛けなければ」「生臭ものはなるべく口にしないようにしよう」

……なーんて1年を過ごした人が引いても、のんべんだらりと1年を過ごした人が引いても、吉が出るときは吉が出て、凶が出るときは凶が出るのがおみくじです。準備→結果という因果関係は成り立ちません。

しかし、テスト勉強は、おみくじではない。

テストまえの準備とテストの結果には、はっきりと因果関係があります。
にも関わらず、そこに因果関係を見いだそうとしない。あるいは、見て見ぬふりをしている。
これが「おみくじ勉強」最大の問題点です。

テスト勉強とテストの点数を因果関係で結ばないから、テストのたびに同じような勉強を繰り返す。本人の中では「気合いを入れかえて」いるつもりのこともありますが、せいぜいテスト勉強に着手するのが数日早くなったりする程度。「何を、どのように」という質まで考えが及んでいません。
そして、同じような点数を取り続ける……ならまだマシで、成績は緩やかに、しかし確実に下降していく。
でも、テスト返却後には「やったぜ」「やばくね?」を繰り返しているだけ。

おお、なんともオソロシイではありませんか。


「おみくじ勉強」から脱却すること。
すなわち、返却されたテストは失点の中身まで分析し、教科の復習はもちろんのこと、テスト勉強の中身も合わせて振り返りをすること。
それができれば、学校内で上位5%に手が届くはずです。


……というような話を、定期テスト直後だったので中学生たちにしたのでありました。彼らが「おみくじ勉強」から脱却してくれることを、切に願います。


まあ、より根本的には「テストが近づいてきたからテスト勉強しよう」と思ってるうちはまだ「もう一皮むけてほしい」段階なんですが、それについてはいずれ気が向いたときに書こうと思います。

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