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個性とは何か?
長所を伸ばして生きる方が、生物的に自然で、効果も大きく、十分長所を伸ばし得れば二、三の欠点はむしろ芸術品における飾りのようなものにさえなり得るのです。
「平澤興一日一語」より
平澤興氏の言葉を抜粋しました。この一文を読んでパッと思いついたのが「個性」です。
それは、長所も短所も二つに分ける前の一つで見た場合「個性」と置き換えられると思ったからです。
個性とはなんぞや、を考えることによって長短所を深めるきっかけを探っていきたいと思います。
さて、
早速ですが「個性」とは何でしょうか。
結論から言うと、個性とは没個性の中からにじみ出るものだと考えています。
たとえば、学校で平仮名や漢字を習うとき、お手本を元に(ときにお手本を紙の下に敷いて)書きますよね。(ジャポニカ学習帳さんには、大変お世話になりました。)
興味深いのは、どんなにキレイに書いたとしても、その人の持つ固有の癖がでてしまうのです。
言葉もそうです。話す言葉も段々と癖が出てきますし、書くときの言葉使いも癖が出てくる。
だからでしょうか、ぼくらは(決まった形に従う)文字を通じて、その人が醸し出す何かを感じることができます。
そこに個性が放たれるのです。
余談ですが、先日、とてもキレイな字を書く人と仕事上でご一緒させて頂いたのですが、その方の立ち振る舞いは、やはりどこか凛としてらっしゃいました。
名は体を表すといいますが、字もまた体を表すようです。
▲白川静さんの辞書をひいてみる▼
ここで「個性」の「個」と「性」の漢字には何が込められているか…白川静さんの辞書をめくってみますね。
「個性」の「個」とは、固定した一定の形のもの。相手のいない片方だけのものをいい「ひとつ、ひとり」の意味。
興味深いのは「真個」と書いて「ほんとうに」と使うようです。
そして「個性」の「性」とは、人が本来心のうちに備えている感性や心情をいう、とあります。
個性を超訳すると、それは自己固有のもので本来、備えていたものだったんですね。
となると、長所とは探す必要はなかったのです。むしろ、制約の状況下で見つけるもの、感じることだったのです。
今回は、平澤興氏の長短所の言葉から個性とは何か?を思考するきっかけとなり、そして、漢字をバラして考えてみたら、新たな発見があることにも気がつけました。
ひとつの言葉を色々な角度から考えてみると、いつも以上に深く肚に落ちてきますね。
(平凡社さんから発売されてます。おすすめ辞書です。)