Vol.26 原田隆史の人生クレド⑤「タイミング・イズ・マネー 今がその時」(2009/5/19)
「原田隆史の人生クレド」と題して、私の「理念・ミッション」を短い言葉で端的に表している「クレド」を連続でご紹介しています。ご自身の「クレド=信条」と比べてください。
5回目は、「その時」を確実につかみ取るためにクレドです。
【タイミング・イズ・マネー 今がその時】
英語のことわざに「Time is money」というものがあります。「時は金なり」。
時間は大変貴重なものであり、お金と同じぐらいの価値があると説くことわざです。
中学校の教師として陸上競技部を指導していた時のことです。中学校の陸上競技では、「記録」で全国大会に出られるかどうかが決まります。また、その記録は指定の大会で、決まった日までに出さなければなりません。
生徒が中学校1年生の時、「3年生までにはまだまだ時間がある」と生徒も指導者も保護者も考えています。中学2年生になれば、「まだ1年ある」と考えています。そして勝負の3年生になったとき「もう残り4カ月しかない」と焦りの気持が出てきます。
これは「時間がまだまだある」という認識と、「時間は有限である」という認識のすり合わせができていないから起こる気持ちです。
私も、その気持ちを何度も経験しました。「時間がまだまだある」という気持ちは、リラックスした気持ちを生むこともありますが、「油断」を生むことも多々ありました。
そこで、私は、「時間はまだまだある」けれども、同時に「時間は有限である」ということを実感するために、「大きな目標にたどりつくまでの小目標をたくさん決める」という取組みを生徒とともに進めました。
これは大成功でした。
時間に対する認識が変わったのはもちろんのこと、
①小さな目標を設定することで、生活に活気が生まれた。
②段階的に大きな目標に近づくので、目標達成の確率があがった。
③成功体験が増えるので、自分にも生徒にも自信が生まれた。
など、付加的な効果もたくさんありました。
こうして、「指定の大会の決まった日までに記録を出す」ための取り組みを続けるうちに、私の頭に浮かんだ言葉が「『その時』をつかむ」というものでした。
決まった日の限られた試技の中で、確実に突破記録を出す。「その時」をつかむ者だけが、自分の目標を達成できると気付いたのです。生徒に「その時」を確実に手に入れさせることができる指導者でなくてはならない、ということです。
そして「時間が大切」→「時間は有限であると知ることが大切」→「有限の時間をどう使うかが大切」と変わっていた認識が、私の中で完成しました。
それが「限られた時間の中で、『その時』を逃がさず確実につかむことが大切」という認識を表現した「タイミング・イズ・マネー」です。
「タイミング・イズ・マネー」に気付くと、いろいろなことが今までとは違って見えました。
「まあ。あとでもいいか」と考えていた生徒の指導を、「気付いたその時に」と改めることができました。この改善により、生徒が問題を起こした後から指導する「事後指導」ではなく、予測的に未来に導く「事前指導」を多くすることができました。
また、教師を退職し、企業の方々と接するようになってからも、「タイミング・イズ・マネー」を何度も実感しました。
優秀な経営者・指導者と呼ばれる人たちは、共通して、「何かに気付いてから行動に移すまでの時間」がとても短いことがわかりました。また、「気付いたその時に行動する」ことが、成功の確率を結果として高めることにも気付きました。「あの時ああすれば良かった」と後悔することも減りました。
「タイミング・イズ・マネー 今がその時」。
分かっているのだけれど後回しにしていること、気づいているのだけれど行動に移していないこと。今がその時、です。気付いたら、行動すること。気付いたときが、みなさんの「タイミング」です。
ありがとうございました。
(感謝・原田 隆史)2009年5月19日発行