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「あなた以上に」からの翌朝挫折!! ルンバのお仕事 田舎の公務員の瞠目
ルンバがうちにやってきた。
ルンバを初めて見たのは10年前。税金の説明に個人宅にうかがった際、僕の足にやたら特攻を仕掛けてきたのが出会いであった。
たしかに家主さんからすれば、その場で一番掃除したかったのは間違いなく僕だっただろう。その空気を察知して動いたなら見上げた忠誠心であるが、その後も場所を移動するたびについてきて、僕の繊細な心にルンバへの不信が残ったのである。
しかし、僕は面倒くさがりで面白いものが大好きである。ルンバだって10年前より進化してるであろう。つい、セール告知が出たと同時に買ってしまったのである。
設置はコンセントに繋いでルンバをその上に置くだけである。起動すると、結構な爆音がしてチロ(犬)が警戒。手でつついたり、かぶりつこうとする。おいおい、壊すなよ…。ルンバにとっては過酷な労働環境である。
それにしても、じゃれつく(僕視点)チロはカワユイ。ルンバ、お前もう3万円分の仕事はしたな。良いぞ良いぞ。
5分後、ダストボックスを開けると、ホコリとチロの毛がごっそり。
なんと、僕らが決闘を仕掛けていたなか、ルンバはきちんと仕事をしていたのである。
さすが最新機械だよお前は!!よし、任せたぞ!!部屋の掃除のすべてをお前に託す!
僕は翌日の出勤中にタイマーを合わせた。帰ったら部屋がスッキリきれいになっている。さすがは21世紀である。
翌日昼休みにスマホを開いた僕はギョッとした。
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「ルンバが助けを求めています」の文字が、画面いっぱいに押し込まれていたのである。
呪いか、これは…。僕はスマホを落としそうになった。
自分ではどうしょうもなくなって、キレて信号を送りまくるルンバの姿が目に浮かぶ。「こういうわけだから掃除を中断しました」と報告して充電器に戻るのではダメなんですかね…。簡単なホウレンソウに緊急速報を使いまくるんじゃないよ。
前日は「あなた以上にお掃除します」と大風呂敷を広げていたが、アッサリ「できませんでしたー!」と白旗を上げる。
まるで面接でキラキラと輝いていた人を採用したら、実はアピールだけが得意だったと初日に知ったかのようだ。
帰ったら、ルンバは行き倒れて力尽きていた。あの奇跡の吸い込みは何だったのであろうか。
ふと説明書を読むと、使えない場所や片付けておかなければならない場所がモリモリと書いてあった。
ルンバがその力を遺憾なく発揮するには、こちらの片付けが必要なんだそうな。
僕は片付けと掃除機を同じもんだと認識していた。別な作業だったのか。
お前、うちじゃ1㎡しか活躍できないな。ゴメンな。
一生その能力をフル活用できないであろうルンバを充電器に戻しながら、僕はその重みをずっしりと感じたのである。
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