二重の皮を被れるものが一流の演者である
人間ミスや失敗はしたくないものです。
特に仕事であれば当然でしょう。
お客様に迷惑が掛かる、上司から叱責される、
結果として賞与や評価に反映される。
失敗を恐れてしまう理由は十分に揃っています。
しかし、その他にも失敗を恐れる理由があります。
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社会人は大人です。
大人とは責任を取り、自分で考えて行動できるものです。
そして周りからもそのようにみられます。
ましては役職のついた上司であればなおさらです。
他人より給料が多い分、一般社員以上のことを求められるでしょう。
しかし、実体はどうでしょうか?
20歳代の自分と今の自分で人間的に大きく成長している人はいません。
幼稚なところもあれば感情的になることもあり、怠惰な部分もある。
それが大多数なのです。
役職者も同様です。
たいていは役職者はふさわしい能力があるから抜擢されたのではなく
その役職に相応しいように成長してくれるのを期待されて
抜擢されることが大半です。
そのため、役職に応じた能力は持ち合わせていません。
しかし、周りに納得してもらうために、
役に応じた振る舞いを演じなければならないのです。
つまり自分自身を実態より大きい人間に見せているのが社会人なのです。
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社会人は失敗を恐れます。
それは化けの皮が剥がれてしまうからです。
周りからの嘲笑により傷つく部分もあるでしょう。
しかし、長い時間演じることにより自分自身は
まともな人間であると暗示をかけ錯覚しています。
普段下駄をはかせて演じている社会人の姿が
自分自身であると思い込んでいるのです。
その魔法が解けてしまう。
魔法が解けることであまりにもちっぽけな人間であることを
自分に突き付けてしまうのです。
しかも、描いていた自分自身とのギャップが大きければ大きほど、
心理的なダメージも大きくなります。
落差によっては生きていくことに絶望してしまうほどでしょう。
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人間なので失敗を避けることはできません。
しかし、失敗をしない優秀な人間を演じ切るのは指南の技です。
そうではなく、失敗してもすぐに謝罪できたり、コメディに変えて許されるような実物をさらに演じ切ること。
普段はきちんとした人間の皮を被りながら、
失敗したときの立ち振る舞いも演じ切ることができる。
この二重の皮を被って演じ切れる人間が真の演者なのです。
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