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ワークライフバランスという落とし穴
働き方改革の普及により、社員のワークライフバランス改善に
取り組む企業が増えている。
今までは長時間残業などを強いてきた企業が多く、その反動でもある。
人間、仕事のためだけに生きているのではない。
家庭や自分の時間を大切にすることも大切だ。
ただし、それはバランスが取れていないといけない。
今まではワークが80、ライフが20のようにワークの方が大きな比率を占めているブラックな働き方が当たり前であった。
それに対してワークライフバランスとはワークを50:ライフを50へ
近づけていく取り込みである。
必ずしも50:50である必要はなく、自分の考えでその比率を決めてよい。
人によってはワークを60としてもよいし、ライフを55としてもよいのだ。
自分らしい生き方ができる素晴らしい風潮である。
だが、一つ落とし穴がある。
それは若いうちにライフへバランスが偏ると将来詰む可能性が
あるということだ。
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例えば、20~30歳代でライフを充実させるためライフを80、ワークを20としていたとする。
ライフの比率が高いため充実した20~30歳代が送れるだろう。
ただ、そのような人間が40歳代以降に突入したらどうなるであろうか?
20~30歳代でワークを軽視したということは、
その分経験がないことになる。
他の人がワーク50としたことで経験できたことが、
その人は経験できていない。
結果として同じ40歳代でも能力に差がでてしまう。
また、能力がある人は重要な仕事を任されてさらに成長している。
そのためスキルが複利のように差がついていくことになる。
ライフを充実してきた人は経験不足+その複利の差を
埋めなければならない。
だが、40歳代になると気力や体力が衰えてくる。
その状況で20~30歳代で得られなかった経験を埋めつつ、
さらに40歳代で身につけなければならないスキルも要求される。
例えるならば20~30歳代を半分ニートのように過ごしてきて
そのまま40歳代に突入するようなものだ。
結果、ワーク:190:ライフ:10をこなしていかなればならなくなる。
はっきり言って挽回はムリゲーだ。
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今は『家庭を大事にしよう』などの綺麗事に反対意見をいえない
風潮になっている。
だが、それに流され自分を甘やかし過ぎたとしても誰も止めてはくれない。
従来ではワークを強制されることで最低限のスキルを身につけられたが
現在はそれが自己責任となりつつある。
つまり、自律できていないと能力のない中年が出来上がってしまう。
ワークライフバランスは人に優しい世界に見えるが
穴に落ちると残酷な未来が待っているのかもしれない。