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抗生物質について①

診療で回ってると抗生物質を使う場面が結構多い。
肺炎や下痢の子牛だったり、原因はわかんないけど熱がなかなか下がらず辛そうだったりする子に、抗生剤使ってみましょうか。という感じで抗生剤を使っている場面をよく見かける。

何十種類も抗生剤が沢山ある中で、この子はこれ、この子はこれと場面ごとにテキパキ使い分ける先輩獣医さん。国試勉強で抗生物質の種類(〇〇系はタンパク質合成阻害〜)とかは必死に覚えたけど実際臨床でどうやって使い分けてるのかなんて全くわからないよ!

1.そもそも抗生物質ってなんだっけ
抗生物質は細菌によって作られる化学物質で、他の細菌の発育を阻害したり死滅させたりする物質のこと。この成分を細菌そのものから取り出したり、最初から科学的に合成したりして利用している。細菌をやっつける薬だからウイルスには効かない。

産業動物は最終的に牛乳やお肉として人の口に入る。抗生物質は牛以外でも、もちろん人にも作用するため、牛に抗生剤を使ったら抗生剤が牛の体内から消えて無くなるまでの一定期間は出荷しちゃダメですよっていう休薬期間がある。

しかも使い方を間違えたり、無駄に乱用しまくると、抗生剤から生き残る事ができる耐性菌が誕生する問題なんかもついてくるから、使う場面は多いのに普通の薬よりも慎重に使わないといけないのがすごく厄介だ。

2.抗生物質の分類
シェパードの松本先生のコラム「お薬のお話」がすごくわかりやすかった。

抗生物質には作用期間で分けた時間依存性抗生物質と濃度依存性抗生物質の二種類に分類できる。これは投与方法を考える上で大切だ!

▶︎時間依存性抗生物質
長時間一定の濃度を保つとより効果が大きい薬剤のこと。1度に大量に打つのではなく1日何回かに分けて投与するのがいい。βラクタム系(細胞壁合成阻害)、テトラサイクリン系、セフェム系(細胞壁合成阻害)。
▶︎濃度依存性抗生物質
1回投与時に濃度が高いほど効果がある薬剤のこと。1度だけ大量に打つのがいい。ニューキノロン系、マクロライド系がある。(どれも蛋白質合成阻害)

そして殺菌性抗生物質と静菌性抗生物質にも大別できる。
▶︎静菌的抗生物質
分裂増殖時の細菌を静めて発育速度だけを抑えるもの。数回静めているうちに感染性が衰える。だから決められた通りの服用時間を守らないと効果は出ない。
マクロライド系、テトラサイクリン系、クロラムフェニコル系(蛋白質合成阻害)。

▶︎殺菌的抗生物質
分裂増殖時の細菌を殺すもの。有効血中濃度に達すると細菌は死んでしまう。細菌は薬が体内に吸収されるたびに死ぬ。だから多少作用時間がずれても有効性を示す。
βラクタム系(細胞壁合成阻害)、アミノグリコシド系(蛋白合成阻害)、ニューキノロン系(核酸合成阻害)など。

そのほかはそれぞれの抗菌薬の作用機序の種類だよな。。。

投与量は添付文書の量をおよその体重で出してるよね。

じゃあ使い分けはどうしてるんだろ。

3.使い分けかた(多分こんな感じ?)
 ・第一選択薬か、第二選択薬か
 ・抗菌スペクトルで考える
 ・過去に治療で効果があった薬を使う
 ・副作用を避けて使う
 ・休薬期間に対する農家さんの希望出荷日にあわせて使う

使い分け方をまとめると。。
・添付文書に記載されている分量をしっかり使う。下手に少ないと耐性菌が出る恐れがあるから投与量の最大量を使うのがいい。(?)
・時間依存性と濃度依存性、殺菌性と生菌性の分離によって投与量や投与間隔が違うから確認して使う。
・なるべく第一選択薬から使う。病原細菌の種類がわかるまでは広域スペクトルのものを使い、薬剤感受性試験を行って適切な抗生物質に変更する。
投与を続けても効果がないものはズルズル使い続けると耐性菌が現れやすいから変更する。
・過去に似た症例で効果があった抗生物質を最初から狙って使う。

あれ?実践的なこと書けてなくないか?
やばい。わからないことがわからない。
実際に使う抗生剤から覚えていけばいいのかな。。。
これは一旦ページを分けて考えよう。これは途中で挫折しそうだぞ。。。

ひとまず今日は終わり!

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