【猫】未避妊・高齢・食欲不振・多飲多尿
先日初診で大きな猫が来院してきました。飼い主さんがカルテを記入し、受け取ります。
初診の猫の主訴
カルテに書かれた主訴は
未避妊
高齢
食欲不振
多飲多尿
でした。
書かれたカルテを見ていると、同じくカルテを覗き込んでいる厳しい先輩獣医がいたことに気付きました。
やばい、なんか言わなきゃ。。。(・・;)汗
何の病気かは分からないけど、未避妊だから生殖器系の問題ありそうだし、多飲多尿あるならホルモンも絡んでる?
そのくらいのふわっとした考えで「ちょっとこの症例マズそうですね。。。」ととっさに言いました。
その日の帰り際、先輩獣医に「まだ経験浅いのにパイオを疑ったのは凄いですね!」と褒められ、
「。。。。。?????」となってしまいました。
パイオ=子宮蓄膿症だった
なんか盛大な勘違いをされて褒められてしまった、、、と思いましたが、前から知っているふりをしてしれっとパイオを調べました。
子宮蓄膿症(パイオメトラ)とは
その名の通り、何らかの原因で子宮内に膿が溜まってしまう病気です。犬も猫も、未避妊のメスのみかかります。犬の方が発症率が高いそう。
症状としては、食欲不振、嘔吐、多飲多尿、発情出血が無い、陰部からの排膿などです。
血液検査での腎機能低下や貧血、CRP上昇、白血球数上昇を確認。
レントゲンや超音波で拡張した子宮の中に充満した膿を確認して、確定診断をします。
進行すると、腎不全、敗血症によるショック、播種性血管内凝固症候群(DIC)を誘発します。
第一選択は外科的な卵巣子宮全摘出で、緊急手術が必要な命に関わる病気です。
この猫はパイオではなかったけど。。。
この猫はエコーで確認すると子宮に膿は溜まっておらず腎臓に問題がありそうとのことで、外科ではなく内科的に治療することになりました。
パイオに症状が限りなく似ていても、違う病気ということもあるのか。この子の経過が気になります。
主訴で疑って緊張感を持つ
動物が運ばれてきた時、カルテに書かれた数個の症状からある程度頭の中で鑑別リストを立てておく。
緊急性の高い病気を浮かべたら、すぐに対処できるように緊張感を持って診察に臨む。
と、厳しい先輩獣医に言われました。
今回のカルテは
未避妊
高齢
食欲不振
多飲多尿
以上の症状から、絶対すぐ頭に思い浮かべないといけなかった緊急性の高い病気が「パイオ(子宮蓄膿症)」だったことを学びました。
今やるべきことは、頭の中の鑑別リストの引き出しを多くするために、とにかく沢山いろんな診察にいくことだ!!
次はたまたまで褒められるんじゃなくて、ちゃんとその病気を疑えるようになろう。
帰っていった猫ちゃんを思い浮かべながら「がんばろう。。。!!」と思った出来事でした。おわり。