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【犬の病気】犬がお尻をこすりつける鑑別を考えてみた

「お尻をする」「お尻歩きをする」日ごろからそういった主訴で来院される飼い主さんは少なくありません。

一見すると可愛らしく見える動作ですが、実は重大な病気がかくれていることもあるため注意が必要です。

今回は来院時お尻をすって歩く行動について考えられる主な鑑別を5つ考えてみました。

犬のお尻歩きとは

犬のお尻歩きとは、普通に四つ足で歩くのではなく、お尻を床にこすりつけながらスリスリと歩く行為の事を指します。

①肛門嚢腺の分泌物が溜まっているため

肛門嚢とは?

肛門嚢とは、肛門の周囲に存在する4時と8時に左右存在する袋状の構造のことです。肛門嚢腺からの分泌物が溜まっています。

例えば犬同士でお尻を嗅ぎあう際も、この肛門嚢の匂いを嗅いでいるとされています。排泄のたびに、排せつ物と一緒に分泌され、マーキングとしての匂いの機能を果たします。

元気食欲がある子で、最近お尻をこすりつけるようになったという子は、肛門嚢に分泌物が溜まってお尻をこすりつけている事がとても多いです。

肛門嚢破裂になることも

肛門腺は通常自然に排泄されますが、うまく排泄されないと液が溜まった肛門嚢に炎症が起き、しまいには破裂して炎症が起こることもあります。

その際は抗生剤などによる治療が必要になり、最悪外科での肛門嚢摘出が必要になることもあります。

そのため定期的に肛門腺絞りを行い、肛門腺や肛門嚢の炎症を抑えてあげるのがおすすめです。

自分自身でも絞るのは可能ですが、難しければ動物病院やトリミングサロンで頼むとやってくれる所が多いです。

②自分の排せつ物をこすりつけている

例えば排泄後にうんちがお尻についていた場合、違和感から地面にこすりつけて取ろうとする子がいます。

排せつ物以外でも、お尻に何か違和感がある場合も、取りたい一心でこすり続ける事もあります。

お尻歩きをしている時にお尻を覗き込んであげて、うんちがついていたら優しく拭き取ってあげましょう。

③消化管内寄生虫の感染

消化管内に寄生虫が感染している場合、肛門周囲の腸管内で炎症が起きることで痛みや痒みからお尻をこすることもあります。

特にお外に出やすい子や、寄生虫の予防薬を飲んでいない子、子犬などが寄生されやすいです。

ノミなどの外部寄生虫は、腰背部や臀部(おしり)付近に寄生しやすいです。お尻を含めた腰背部などを気にしてなめるようなら、一度ノミやダニがいないか確認してみてください。

④会陰ヘルニア

会陰ヘルニアとは、肛門を支える筋肉が薄くなり、筋肉と筋肉の隙間から脂肪や腸などの臓器が飛び出してしまう病気です。

正常な位置に臓器が無い事で直腸や尿道を圧迫してしまい、りきんでも便や尿が出ずらい症状が出ます。

発見した場合は、外科的に飛び出した臓器をもとに戻して穴をふさぐ手術が必要になります。

特に中~高齢の男の子のわんちゃんに多い病気で、お尻回りがぼこっと膨らんでいる事で発見されるケースが多いです。

肛門周囲の腫瘍

がお尻をこする要因の一つとして、肛門周囲の腫瘍があります。

犬の肛門周囲に認められる腫瘍としては、主に肛門周囲腺腫、肛門周囲腺癌、肛門嚢アポクリン腺癌の三つが挙げられます。

しきりにお尻を気にしたり地面に擦り付けたりといった症状が見られますが、症状が無い事も多いです。

お尻をこすって歩く以外に、排便をする時に痛がったり、出血やしこり・できものが目で見て確認出来たりする場合は何らかの炎症が起こっていると考えられます。

次第に巨大化して、直腸を圧迫し、排便困難に陥るなどの重篤な症状につながることも少なくありません。

まとめ

日常のちょっとしたことから重大な病気まで、様々な原因が考えられる「お尻歩き行動」。

鑑別として①肛門嚢腺の液が溜まている②排せつ物が気になってこすり付けている③消化管寄生虫④会陰ヘルニア⑤肛門周囲の腫瘍の5つを挙げました。

実際のところ、「お尻歩きをする」という相談で病院に来られた患者さんのほとんどは①の肛門嚢腺の液が溜まっている子が圧倒的に多い印象ですが。。。

個人的にはお尻歩きするわんちゃん、可愛くて大好きです

最後まで読んでいただきありがとうございました!


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