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診察時のルーティーンを決めておく

診察で犬猫を迎える時、動物に対する心情は人それぞれ。

オーナーさんの性格や気分によって診察室の雰囲気はガラッと変わります。

診察室の雰囲気はオーナーさんよって違う

今すぐ入院しないといけないくらい重度な猫ちゃんでも、オーナーさんは意外と落ち着いていて静かに治療が進んでいくこともあれば、

歯周病で命に係わる可能性は少ない症状のワンちゃんでも、物凄く不安そうに取り乱してしまう心配性のオーナーさんも。。。

本当に、症状の重症度にかかわらず診察室の雰囲気はオーナーさん次第でガラッと変わります。

ある日の診察で

ある日の診察で、食欲不振、嘔吐の犬が来院してきました。

オーナーさんは緊張していて、心配で心配でどうしようもないという感じ。緊張感はすぐに伝わってきました。

診察室全体が緊張感でいっぱいの雰囲気に変わります。。

経験がまだ浅い私は、オーナーさんの言動に敏感に反応してしまいます。

昨日からの症状を取り乱しながらしゃべるオーナーさんの稟告をメモリまくって、とにかく触診をして血液検査を提案。

採血をしてからオーナーさんに犬を預け、検査結果を待ちます。

頭の中で色んな病名や検査が浮かびながらもまとまらない私は、先輩獣医に相談をしました。

私「昨日の夜から元気食欲が無く嘔吐を2~3回繰り返し、便も軟便だそうです。消化器疾患だとは思うのですが、腹部圧痛は無くて、、、。」

先輩獣医「ひと通りの身体検査をしてみてどうだった?体温は?」

わたし「は!!つい焦って、体温測るの忘れた。。。。」

私はすぐにでも血液検査やエコーをすることばかりに気を取られ、身体検査を怠ってしまったのでした。

定期健診の時は忘れずに測れていたのに、つい慌てて忘れてた。。。。

ルーティーンを持つことの重要性

先輩獣医は怒ったりせず、やさしく教えてくれました。

「自分で身体検査のルーティーンを決めておくといいよ。毎回同じ手順で聴診→触診→体温測定と、同じ順番でやるクセを付けていれば、オーナーさんの態度に自分の診療が引っ張られにくい。」

「基本的にどんなオーナーさんが来ても、その人の気分に引っ張られないようにね。オーナーさんが取り乱す時ほど獣医は冷静にいつもと同じ診療をしないと、重要な所見を見逃してしまうから。」

なるほど。。。。と腹落ちしました。

たしかに身体検査の順番は思いつく通りに毎回バラバラだったから、聴診しなかったり体温測定を忘れたり小さな見落としがあったんだ。

次から自分の中でルーティーンを決めておけば、どんなオーナーさんの前でも落ち着いて進められそう!

ハッとさせられた出来事でした。

忙しい時でも最低限のルーティーンを持つ

ただ、

毎回全部の症例ですべての身体検査を1から10まで滞りなくやるのは、最適ではありません。

特に繁忙期、めちゃくちゃ忙しいのに一人の動物に長時間かけてたら診察が回らないからです。

そんな時は稟告から「この身体検査は絶対やろう!」という項目をある程度決めておく事が重要だと教わりました。

例えば消化器疾患を疑うような所見であれば、口や目はパッと確認するだけにとどめるけど腹部触診は時間かけてでも絶対やるという感じ。

なるべく早く診察はするけど、見逃しをしないように。

さいごに

忙しい時ほど速さと正確さが求められる現場では、無駄な作業はダメだけど小さな見落としも許されない。。

先輩獣医さん達はそんな難しい事を難なくこなしていて、すごい。

自分なりのルーティーンを体に叩き付けようと思った出来事でした。おわり。


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