10年経営した店のターニングポイント。
来年で運営しているギャラリーが10年になる。
昨日も10年前から来てくれている方とそんな話をしていました。「来てくれている方」とちょっと堅苦しく言ったけど10年も経ってしまえばお客さんというよりは友人。
20代はバイトしながら絵を描くなんてことをずっと続け、1番長く勤めさせてもらってた居酒屋のバイト先(最終的には社員になった)が潰れるのを機に退職、それ以降も色々とアルバイトをしてみたけれど所謂"オツボネ"としてお世話になっていた職場以降、どの職場にも馴染むことができない社会不適合者になってしまった。
どの職場に行っても、馴染めない、熱量がない、所詮はバイト程度の意識の低さ。そうそう、僕はある意味自分が好きであれば何にでも熱心に打ち込むことができる。
自分で何か始めるしかない・・・と思いそれまでアトリエ兼住居として使用していた物件をギャラリー&BARとして2015年にお店をスタートした。
ところで、皆さんはギャラリーに入ったことありますか??
ギャラリーなんて店に入ったことのない人がほとんどだと思う。僕が運営しているギャラリーは梅田の中崎町にある古民家を改装したようなお店なので他のギャラリーに比べてもかなりアットホームだと思うけど、それでもまだまだ普通の人にとってギャラリーとは敷居の高い入りにくいものだ。
梅田から徒歩10分、古民家が立ち並ぶ中崎町は今でこそ観光客で賑わっているけれど10年前は今ほど人も多くなく、1日の来店数が数名なんてことも珍しくない。
始めたばかりのギャラリーで展示をしたいと思う人も少ない訳で、ギャラリーで生計を立てるのは最初から不可能だと思っていた。
それまでずっと飲食店で働いていた僅かな経験を活かして、なんとかBARで生計を立てれないかな…と模索を続けました。なのでBARメインでギャラリーはある程度ちゃんとしようとはするものの。ふざけた企画も多かった。
「こんなギャラリーがいつかアートフェアみたいなイベントに出せる日が来たら面白いよね〜〜」「うちのギャラリーに出してくれてる作家さんが有名な〇〇ギャラリーさんとかで展示するようになったら面白いよね〜〜」なんて夢見たいなことをお酒を飲みながら友人兼常連とよく話してた。
その当時は自分のことや自分のお店に全然自信を持てなかった。
経営もまさに自転車操業的な運営が何年も続く中で、いくつかのターニングポイントがあった。
ある日仲の良い作家が東京の男性の写真家さんを連れてきてくれた。
その方は展示してある絵ではなく、小さなギャラリーの空間や天井を見渡しながら「すごいパワーだな」とか小言で何かを呟いていた。
最後に、「じゃ、帰りますね〜」と言って僕が見送ろうとすると振り向いて、
「ちょっと多分もう会うことも滅多にないだろうから言いたいことを言っていいですか」と話はじめた。
なんやろ、と思っていると
「あなたはいわゆる天の人、光の人で、もっと上に行きたいと思っている筈だけど下から良くない人たちに足を引っ張られているんじゃないですか?」
「そのうちあなたをもっと上の方に引っ張ってくれる人が現れますよ」
BARのカウンターを指さして「ここに凄い良くない影を感じますよ心当たりはないですか」とか
スピリチュアルにも程がありそうなことをつらつらと喋り始めて普通は「何いうてんねんこの人」と思っちゃいそうなことなんだけど、事実言われたこと全てに対して心当たりがあり、
「じゃ」
と言ってその写真家の男性は帰っていった。
びっくりして呆然としていたが、しかし言われたこと全てに心当たりがあり、その全てに即座に納得することができてしまった。
それから、確かに僕のことを引っ張ってくれるような人が現れた。良く考えたら僕を慕ってくれていたんじゃなくて甘えられていたことに気づいた。そしてそれまでいてくれた多くのお客さんは入れ替わりました。
何度もチャレンジしては選考で落とされていたアートフェアにも今年からようやく出展できるようになり、昔から出してくれたいる作家の何人かは今では国内外問わず活躍するようになっている。
BARに関してはもうほとんど告知などすることはないし、今は会員制&紹介制と謳っているので知らない人は入ることはできません。今ではギャラリーが主体。BARは集まる作家や関係者のみのコミュニケーションの場として機能しています。
「こんなギャラリーがいつかアートフェアみたいなイベントに出せる日が来たら面白いよね〜〜」「うちのギャラリーに出してくれてる作家さんが有名な〇〇ギャラリーさんとかで展示するようになったら面白いよね〜〜」
上記、まだまだこれからではあるものの全て現実になってった。
勿論、まだまだやらなくちゃいけないことは沢山あるし僕自身今でも作家として活動してて力不足なことが沢山ある。
想像していなかった未来は、まだまだこれから。
写真は約10年前。自分の展示をしてた頃。
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大阪で絵画制作や美術活動をしつつ、ARTspace&BARアトリエ三月を運営しています。サポート頂いた分は活動費やスペース運営費として使用させて頂きます。全ての人がより良く生きていける為に 美術や表現活動を発信し続けます。