続・資格試験について考える~プロセスエンジニア編~
以前の記事で、プロセスエンジニア寄りの資格について話題にしました。
それらの資格試験について感じたところを、今回はなるべく定量的に分析・評価してみました。
長文です、しょうもない内容です、何かを結論付けるつもりもない、単なる比較の例示と感想が主です。ご容赦下さい。
■ 受験費用など
別記事で、知的財産管理技能士は検定料が高い、とか、弁理士もやたらお金がかかる、と書きました。
あくまで小生の経験に基づく感覚論でしたが、今回はちょっと数字を並べて分析してみました。対象は、小生が受験したことがある、受験を考えたことのある資格です。
結論としては、やはり小生の感覚は間違っておらず、
知的財産管理技能検定の検定料は高い!エネルギー管理士も高い!
弁理士は、登録・維持費がやたら高い!
論拠と考察は以下の通りです。
まず、”試験時間≒設問の数・量であり添削・採点工数も比例関係、加えて会場費や試験官の人件費も比例関係にある、ハズ。此れ即ち、試験時間が長いと試験費は高くなる”、と仮定して、①試験費と試験時間の相関を見てみました。
なんだか、それっぽい図に。。。
気付きとしては、
試験時間に関わらず、口頭試験、記述試験があると高くなる。これは、(専門家であろう)口頭試験官の人件費や採点・評価する手間のコスト、との理解。
択一試験のみの場合、試験時間が長いほど試験費が高くなる傾向がある(口頭試験を含むものは記述・択一試験との複合となるので比較評価できない)。
知財管理技能士は単価が高い。
次に、”受験申込者数が多いと、単価は下がる”、と仮定して、②試験費と受験申込者数の相関を見てみました。
これも、それっぽい図になりました。
気付きとしては、
受験申込数が多いほど試験費が下がる傾向がある(口頭試験を含むものは記述・択一試験との複合となるので評価できない)。
知財管理技能士とエネルギー管理士は単価が高い。
最も受験者申込数の多い技術士の単価も結構高い。これは、技術士二次試験が21の技術部門、69の選択科目にわたる設問を作成し、これを採点・評価する必要があるため、自ずと単価は高くなる、との理解。
因みに技術士二次試験ですが、令和元年の試験要綱改定により、選択科目が96→69科目に圧縮されました。この試験費で、きめ細かく高度な評価をできるなんて、頭が下がります。野暮な話ですが、仮に10%程度の合格率が100%になったら、試験費は10倍に値上げせざるを得ない、ということか。。。
最後に、③試験に合格し、資格取得(登録)までに必要な費用(総費用)を受験申込者数に対してプロットしてみました。
これは、あまり有意な相関が見当たりません。なんとな~く、受験申込者数が多いと単価が下がるように見えなくもないですが、登録(費用)の有無も其々なので、比較評価できません。
一応、気付きとしては、
やっぱり弁理士は極めて高い!☞しかも、弁理士は登録後も更に15,000円/月(18万円/年)の会費を弁理士会に納め続けないと、資格が維持できない。。。
環境計量士、技術士も結構高め。☞環境計量士は、実務経験がない場合は産総研@つくばで講習(9万円程)を受けないと、資格がとれない。。。
因みに、”総費用”と言っていますが、内容は試験費と登録費の合計です。弁理士なんかの受験には、予備校に通う費用もあるし、口頭試験なんかは東京でしか受けられない場合も多くて旅費もかさみ、本当の総額はこんなもんじゃないです。
また幼稚な発想ですが、登録費が高い≒しっかり管理されている高尚な資格ということか!?
因みに、元データは以下の通りです。
またつまらないものを分析してしまいました。。。
■ 喜怒哀楽(資格ランキング)
試験には、自ずと喜怒哀楽というものがついてきます。
ということで、あくまで当方主観ですが、これまでに挑戦した(している)資格について”喜怒哀楽”の観点で評価し、ランキングしてみました。
評価条件は、
喜;試験に合格して嬉しい、実務に役立った、試験会場にカワイイ子が多かった、等、”喜び”の要素が低ければ1点⇔高ければ5点。
怒;受験料が高い、設問内容に品位がない、試験官の態度が悪い、等、”怒り”の要素が高ければ1点⇔低ければ5点。
哀;知名度が低い、実務に役立っていない、試験が難しくてたまらない等、”哀しみ”の要素が高ければ1点⇔低ければ5点。
楽;試験勉強が楽しい、自尊心が向上した、試験会場選びのセンスがいい、等、”楽しい”要素が低ければ1点⇔高ければ5点。
あとは、
各要素は1~5点で重みづけし、同点は無しとする。
合計点で順位付けする。
ということにしました。
結果は
、
、
、
じゃんっ!
意外と、セルフランキング、面白い。。。(暇人かっ!)
一応、気付きとしては、
難易度(偏差値)が高いほど、ランクが高い傾向がある。(オープンとしている知財管理技能士(1級)は未受検の為、今後化けるか?)
なんだか試験自体に品位がないなぁ、と感じていた資格は”怒”と”哀”を感じる度合いが強く、これに伴ってか、”喜”と”楽”と感じる度合いも低い。
1回も一発合格できてない。。。(因みに、大学受験も浪人してます。。。)まぁ、失敗に学び、次に活かして、諦めない!ということで、知財管理技能士(1級)は一発合格目指します!
結局のところ、難易度の高い資格の方が、本質を理解して、課題や解決策を自分事として考える必要があり、知見の習得(あるいは棚卸)として有用な機会になったのだと、小生は感じています。じゃによって、実務の品質向上に資する機会にもなっているのだろうと思います。
逆に、難易度の低い資格は、単なる情報の丸暗記や、試験の癖に慣れる事がハードル、、、と言えなくもないです。試験に合格しても、”あぁ、勉強になったなぁ”とか”レベルアップしたなぁ”といった実感がなんだか得られにくかったように思います。
■ 五大国家資格?の年収比較
事、弁理士と技術士をハイライトしたく、ちょっと下世話ですが、この五大国家資格とやらの年収を比較してみました。
そもそも、五大国資格って何?
小生も、”技術士って五大国資格の一つだよ”と、かつて何処かで聞いたことがあるような気がします。何が”五大”の根拠になっているのやら、と思いGoogle教授に教えを乞うたところ、noterの高宮 和雄さんが考察をされていました。
。。。
スーパーサイヤ人になりたいとは思わないけど、シェンロンには会ってお願いしたいことがある。。。
もしかして、この5つというのは、伝説の勇者ロトの装備品(ロトの剣、盾、鎧、兜、印)なのでは?技術士は名称独占資格なので、ロトの印ということか?
まぁ、それはそれとして、、、
エイやっ、と比較してみました。
結果は、、、
出典の相応性をさておいて、になってしまいますが、
技術士、(比較的)偏差値も収入も低いっ!(いや、決して低くはないのですが、比較対象の中で、の意。)業務独占資格でないからでしょうか。。。
弁理士、登録・維持費が高いと上述しましたが、弁護士と比較してしまうと小さく見えます。。。
さすが弁護士、丸4日間にも及ぶ試験費はお高い。。。
理系資格、比較的お安い。まぁ、医師は6年大学に行かねばならぬので、ちょっと違うし、医師試験の合格率は9割程度とかなり高いらしい。PhDと同じく大学もピンキリなので偏差値もあてにならない。。。
なお、賃金情報は厚労省の統計を用いましたが、職種分類が令和2年から変更されていて、”資格目線”のApple to Appleな比較ができませんでした。更に、この統計の”ミソ”は、企業規模10人以上の統計、という点です。つまり、所帯が小さい個人事業主が反映されず、資格保有者全体の実態を表していないと思われます。要するに、いわゆる企業戦士の賃金を表現した統計と考えられます(弁護士・弁理士なら法律事務所勤務、医師なら勤務医)。
因みに、資格関連のWebサイトで、同じく厚労省の統計を引用して数値を示している例が散見されました。しかし、引用年や職種の整理がいい加減なものもあり、注意が必要と感じました。
結果的に本件、あまり面白い分析にはなりませんでしたね。。。
■ 国家試験の運営問題
少し前、日経に国家試験の漏洩問題に関する記事が掲載されました。
国家試験の運営は管轄官庁から外部団体に委託されているケースが多いようですが、試験問題の漏洩など、課題が浮き彫りになっています。民間資格の”漢検”もかつて社会問題になりました。
嘘か誠か、国家試験を運営する外部団体は天下りの温床、と揶揄されることもあります。
因みに、小生は天下りを肯定も否定もしません。能力の高い人が官僚としてお国の為に身を粉にして働き、引退後も継続してその能力や経験を生かして、国家試験運営の一助になるのならこの上ない事だと思うからです。
最近の霞が関界隈は残業代も出るようになっているようですが、かつては残業代も支払われず、昼夜を問わず働いて貢献した見返りが”天下り”、という見方もできないこともなかった、かもです。
ダイバーシティーが叫ばれる昨今では、世の中の最大公約数、全体最適化を意識した制度設計が、ある側面から批判を受ける事も多い、政府からの圧力で制度設計もままならない、などなど、課題も多いのだと思います。大変な時代ですが、官僚の皆様には、世の為、人の為、日本の為にこれからも頑張ってほしいし、このままでは官僚の成り手がいなくなってしまうのでは、と懸念します。
とりあえず、霞が関を永田町から遠いどこか地方に移転して、もっと近代的で快適なオフィスでいい仕事して欲しいと、勝手に願っています。かつてのNEDOの川崎市移転(2004年)もなんだか中途半端だったし、文化庁の京都市移転は現実になってますが、やっぱり建屋がクラッシック?
もとい、
資格制度に限らず、変な癒着や既得権益みたいなものは、本当に止めて欲しいものです。製造業での品質管理データの改ざんの如く、信頼性を欠く行為は、結果的に日本の競争力低下に拍車をかけます。当然、資格自体の信頼性も失われてしまいます。
”旧態依然の不合理な枠組みが不正を招くなら、事なかれ主義は止めて、枠組みを再構築してしまえ!”
と、若い政治家の様に叫び、
終了とさせていただきます。
★ おまけ
第1~3項で、分析ライクなことをしましたが、各種データを分析・評価する際にエンジニアとして気を付けていることがあります。
それは、
”相関関係と因果関係は別物”
という事。
今回の分析・評価は、相関を眺めながら比較して感想を述べただけです。比較的お金がかかる、とか、比較的満足度が高い、等が主です。因果関係に類するものとしては、仮説に基づく考察を一部取り込んだ程度、何ら検証のなされたものではありません。
故に、試験費(単価)が比較的高いから悪徳ビジネスだ!といったような結論は見出せませんし、そんなことをするつもりもありません。因果関係を明らかにしないで、何か結論じみた答えを出すこと≒(たまたま相関があっただけの)風評ですね。
これ、トラブル対応なんかの時には、特に気を付けないとマズいです。
事象の因果関係を明らかにして、根本原因を特定、是正、適正化して、事象を制御する必要があります。トラブル(理想状態からのズレ)は、直接観測されない事象が介在することも多く、単にデータの相関だけを追いかけると危険です。工学的、理学的な論拠が必要です。
他方、
AIといった技術やデータサイエンスも似たような話です。解くべき問題の認識やブラックボックス化しがちなデータの解析にロジックを与える事、つまり解析結果で得られた相関に工学的・理学的な裏付けをとり、因果関係を明らかにし、アウトプットの健全性を担保する。
これがエンジニアの仕事であると小生は思います。
そして分析結果から得られたアウトプットを経営情報として意思決定していくのは人の役割(権利)である、とも思います。
いやぁ、技術士っぽい事を語ってしまいましたが、、、
もとい、
相関関係を見出すにあたっても、元データの信頼性評価がまずもって必要、という事も、エンジニアとして肝に銘じる必要があります。
数多のシンクタンクやコンサル企業の中には、Evidenceがあればそれでよし、Referenceを示せばそれでよし、的ないい加減な評価者もいらっしゃいます。元データ(or 一次情報)をロクにEvaluateせず(Evaluateできる能力も持ち合わせておらず)、何ら責任を負わず、いい加減な評価情報をお金を取って顧客に提供する、ミスリーディングな情報を(恣意的に?)世の中に垂れ流す、という輩が残念ながらいらっしゃいます。
(うがった見方をするのも良くないですが)見た目が小綺麗に纏まった資料、なんだかスマートなプレゼンに騙されてはいけません。
(やり過ぎもセンスが無いですが、)エンジニアとして、公平公正に、精緻な評価により、顧客に有益な技術・情報を提供することをこれからも心掛けたいと思います。
”果たして、お前のこの記事は有益な情報なのか!?”と、どつかれそうですが。。。
以上