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ユーモアが流れる身体
今朝の往診の一コマ。昨日調子が悪かったご利用者さん。寝起きは顔色もよくて、会話も問題なくできている。
医師「ぼくが誰かわかります?」
90代女性(何を聞くのよ?という顔で)「もちろん」
部屋にいたわたしも看護師も、元気だと安堵していると、女性が一言付け加えた。
「大好きな人」
にっと笑って医師をみる。
みんなで笑う。
わたし「えぇ? 誰かとまちがえてないですか? 大丈夫?」
医師「えっ、僕じゃない?」
みんなでもっと笑う。
洒落っ気があって、すてきな女性。
「大好きな人」
すっと出てくる一言に、参りましたと心のなかで拍手喝采。
医師も朝からごきげんになる。一緒にいたわたしたちも楽しい一日のはじまり。
こんな朝がずっとは続かないけれど、こういう何気ない朝をずっと忘れずにいる。
ユーモアとは、人の心を和ませるようなおかしみ。上品で、笑いを誘うしゃれ。
ユーモアを常にもっていれたらいいな。笑っていたい。
若いころより、今のわたしがそう思っている。
自分が笑うことも好きだし、笑ってほしいと思う。
笑うことは、わたしが生きていくのに必要不可欠なこと。生きていくなかでのいろんな痛みを癒すもの。
ユーモアの語源ってなんだろうと調べてみた。
ユーモアは、英語「humor」からの外来語。「humor」は、「湿気」「体液」を意味するラテン語「フモール」に由来し、中世の医学用語として「ユーモア」の語は用いられていた。
中世の医学では、4種の体液「血液」「粘液」「胆汁」「黒胆汁」のバランスによって人間の気質が変化するという、体液学説の概念が重要視されていた。
ユーモアに変化を与えることで人の気質が変わり、笑いにも繋がることから、人の心を和ませるような洒落を意味するようになった。
生きるために必要な体液が語源だった。
肩甲骨の内側のあたりがゾワッとする面白さ。
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