偶然、だが必然の出合いだった本『1000人の患者を看取った医師が実践している傾聴力』
緩和ケア病棟で祖母を看取ったあと、病棟でのボランティアに登録しようと考えていた。
ある日、本屋さんで目的もなく、並んでいる本を眺めていた。
自分の目の高さに並ぶ本の背表紙を、端から順に眺めていたとき、1冊の本が目に飛びこんできた。この表現そのままで、1冊だけ目立っていて、わたしに場所を知らせてくれているようだった。
それがこの本
ボランティアをやるにあたって、傾聴は大事なスキルだと考えていたわたしに、まさにぴったりの本だった。
著者は緩和ケアを世に広めようと様々な媒体で書いていらっしゃった大津秀一先生。
この本は傾聴とは何かという話だけでなく、緩和ケアにおける4つの痛み(身体的、社会的、精神的、スピリチュアルペイン)について、スピリチュアルペインとは何かなど、様々なケースも交えて書かれている。
この著書の中で紹介されていたディグニティセラピーというものに惹かれ、緩和ケアに興味をより強く持つことになる。(ディグニティセラピーについてはまた書きます)
そして、ボランティアだけでなく、緩和ケア病棟で働いて、患者さんの物語を聞かせてもらいたいと思い、看護助手として勤めることになった。人の終末期に関わる道を歩むことに決めた。
わたしの運命の1冊なのだ。
大津先生は岐阜大学医学部卒業。なんと!近くで学んでいらっしゃった。ブログを読み、コメントを書いて交流させていただいた。
岐阜で緩和ケアに関する学会があったとき、実行委員だったわたしに会いに来てくださった。
今でもこの本との出合い、先生との出会いに感謝している。
この本で書かれている内容を目次から抜粋させていただく。
序章 「聞くこと」と「聴くこと」
第一章 「聴く」ために必要な「心の持ち方」
第二章 「生」と「死」をどう捉えるか
第三章 「聴く」ための技術
第四章 傾聴にまつわる悩み
終章 物語の力を知る
興味ある方は読んでみてほしい。
一般の方に向けて書かれた本です。ご家族やご友人が、今終末期で入院されていたり、自宅で療養されているという方におすすめです。
緩和ケアに興味がある方、看取りに関わる方にも、もちろんおすすめです。