Happy Women's Map 山梨県都留市 紛争下の女性と子供を現地取材 山本 美香 女史 / On-the-Ground Reporting on Women and Children in Conflict Zones, Ms. Mika Yamamoto
「戦争って突然起きるわけじゃなくて必ず予兆がある。みんなで声を上げれば止めることができるかもしれない。」
"War doesn't suddenly break out; there are always signs beforehand. If we all raise our voices, we might be able to stop it."
山本 美香 女史
Ms. Mika Yamamoto
1967 - 2012
山梨県都留市 生誕
Born in Tsuru-city, Yamanshi-ken
山本 美香 女史は戦争報道記者として、日本女性で初めてタリバン支配下のアフガニスタン、イラク戦争下のバグダッドを取材。ジャパンプレスを佐藤和孝と創業して、アフガニスタン、チェチェン、ウガンダ、イラクなど世界の紛争地を中心に取材。ボーン・上田記念国際記者賞特別賞、日本記者クラブ特別賞を受賞。2012年シリア内戦での取材中、銃撃を受け逝去。
Ms. Mika Yamamoto is a pioneering war correspondent, becoming the first Japanese woman to report from Taliban-controlled Afghanistan and war-torn Baghdad during the Iraq War. She co-founded Japan Press with Kazutaka Sato and conducted extensive on-the-ground reporting from conflict zones worldwide, including Afghanistan, Chechnya, Uganda, and Iraq. Yamamoto received several prestigious awards, including the Borne-Ueda International Journalism Award Special Prize and the Japan Press Club Special Award. Tragically, she was killed by gunfire while covering the Syrian Civil War in 2012.
「ビデオジャーナリスト」
美香は朝日新聞の記者をつとめる父・孝治と母・和子のもと3人姉妹の次女として誕生。たくさんの本や新聞に囲まれて育ち、都留市立都留第二中学校、山梨県立桂高等学校、都留文科大学文学部英文学科を卒業。父に憧れてCS放送局の朝日ニュースターに入社すると、「ビデオジャーナリスト」に初挑戦。雲仙普賢岳噴火で、家庭用ビデオカメラを持って被災住民を取材。何日も泊まり込んで片付けを手伝ってようやく話を聞かせてもらいます。それからは、小型ビデオカメラを持ってあちこち訪ねては、取材・編集・ナレーションも自分で行います。ところが総務部に配属されて抜け殻になった美香は退職。結婚して家庭に入ります。
「戦場ジャーナリスト」
或る日、『サラエボの冬 戦火の群像を記録する』([アジアプレス・インターナショナル企画・制作・著作 / NHKBS第一放送「日曜スペシャル」1994年3月6日放映 /取材・撮影 佐藤和孝)を見て衝撃を受けます。「これはすごい!」「私もこういうことがやりたい」小型ビデオカメラを持って戦場の最前線そして市民の生活に入っていく姿に美香は衝撃を受けます。早速、美香はフリーランスとして活動を再開、独立系報道会社アジアプレス・インターナショナルに入社します。そこで憧れの佐藤和孝氏はじめ中国、インド、タイ、フィリピン、韓国などのジャーナリストたちに刺激を受けます。「戦場に行きたい!」
「女性と子どもの声」
翌年、佐藤和孝氏を口説き落としてアフガニスタン内戦取材に同行します.
美香はタリバン実行支配下のアフガニスタンで、赤ちゃんを抱いた女性に「大きな栗の木の下で」を歌ったりしながら、首都カブールに住む女性たちはじめ、地方の農村部の女性達に話を聞きます。女子大生たちがこっそり集まって勉強している秘密の教室、DVで肌が焼け爛れた少女たち。「私たちは動物のように扱われ家に閉じ込められている。」「私たちはズダ袋じゃない。頭から足先まで隠せなんて、女性の自由を奪っている。こんなのイスラム法ではありません。」続いて、ウガンダでは反政府勢力LRAゲリラによって誘拐されて組織された少年兵たちを、チェチェン共和国では独立をめぐる激しい戦闘で親を失った子供たちを取材します。
「人間数珠繋ぎ」
美香は佐藤氏と一緒に様々な国を回るうちに事実婚となり、2人でアジアプレスから独立してジャパンプレスを立ち上げます。二人三脚で「人間数珠つなぎ」の戦場取材をこなしながら、半年は海外で戦場を取材、半年は日本で編集作業、「自分は大丈夫」と暗示をかけながら戦場に出かけます。2003年アメリカ軍が侵攻して国境が完全封鎖されたイラク・バグダッドで取材中、拠点ホテルに米軍戦車の砲弾が撃ち込まれます。激しい揺れと叫び声で大騒ぎになる中、美香は佐藤氏と一緒に向かいの被弾現場に一番に駆け付けます。ロイター通信の社員たちが呻き声を上げてうずくまる中「人命か報道か」。、美香はカメラを置きます。2012年シリア軍の空爆が続くシリア北部アレッポで、反政府武装組織「自由シリア軍」に同行して市街地を取材していると、突然前方から現れた武装集団に傍らの佐藤氏とともに銃撃されます。700本に及ぶフィルムを残して享年45歳で逝去。ひとり残された佐藤氏によって山本美香記念国際ジャーナリスト賞が設けられます。
-『中継されなかったバグダッド 唯一の日本人女性記者現地ルポ イラク戦争の真実』(山本美香 著/小学館2003年)
-『ぼくの村は戦場だった』(山本美香 著/マガジンハウス2006年)
-『戦争を取材する 子どもたちは何を体験したのか』(山本美香 著/講談社2011年)
-『これから戦場に向かいます』(山本美香 著 /ポプラ社2016年)
-『山本美香最終講義 ザ・ミッション—戦場からの問い』(山本美香 著/早稲田大学出版部、2013年)
-一般財団法人 山本美香記念財団
-山本美香記念国際ジャーナリスト賞
-The Japan Press
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