アルコール依存症者へ贈る愛の言葉-10アルコール依存症は病気
私たちの場合、Jはもともと自分でうっすら危機感を持っていた。
私が指摘したとき、ラッキーなことにまだ知性が残っていたから、アルコール依存症だという事実は比較的すんなり受け入れた。
一生断酒が必要であると受け入れるのはまた別の段階だったのだけれど。
断酒をすると決断するところまで行けたら、道は半分ぐらいきているんじゃないだろうか。
人はみんな違う。
それぞれのケースに独自の物語がある。
だから私はみんなに当てはまることを言えないけど、ただ一つ、アルコール依存症者は助けが必要な病人なんだということを忘れないでほしい。
アルコールは脳を侵し人格を歪めてしまう。私も最悪の状態の時は追いつめられて、死んでほしいとまで願ったこともある。
だからあなたが愛した人を手放す選択をしても理解できる。
また時には、アルコール依存症者のためにも自分のためにも、別れを選ばざるを得ないことがある。
私も幾度か、去ることが最善だという悲しい状況に陥り、心から血を流す思いで別れを決断したことがある。
でもいつもアルコールに乗っ取られたJの向こうに透けて見える彼の人間性を愛し、支えたいと願ってきた。
酔っ払った彼が何を言おうと、やめたいという彼の正気の方を信じた。
アルコール依存症はほんとうに残酷な病気だ。いまの穏やかな生活は、最悪の頃には夢でしかなかった。
忘れないでほしい。
粗暴で自己中心的、他罰的な振る舞いは病気の症状で、本来の彼らの人格とはちがう。
アルコール依存症は病気なのだ。