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⑥前科

彼と私のデートはほとんどがご飯付きの数時間のドライブだったので、2人で色んな話をした。
何度目かに会った時に、前科があること、刑務所に行ったことがある事、あと…今現在も逃げてる身であること。
恐喝、詐欺、窃盗の前科プラス数年前に札が降りた窃盗の容疑で手配されてる身だと。
私はまったく初めて聞く「犯罪者」の事実に驚きを隠せないのと、ショックだった。若い頃悪かったとか、鑑別所くらいなら、解る。でも、今も追われてる身だとは。
「そんなこと、私に話して、引かれるとか、冷められるとか、思わないの?」と聞くと、「だって、話して離れるようならそれだけの関係でしょ?全部隠さずに話して、それでも好きで居てくれたら、そこではじめて解るし、隠しても意味ないよ」と。なんか「たしかに」と思ってしまって、でも、どうするの?と聞いたら「あと1年で時効だから」と。
逃げ切れるといいな、とその時は思ってしまった。恋愛バカな脳みそになってしまってたんだろな。
そのときに、昔覚醒剤を使ったことがあるけど、もうしてない。とも聞いた
全部話してくれた。内容云々より、そう思った気がする。私は何も知らなかったから。そんな世界に縁などなかったし、初めて知り合うその手の人物に免疫などなくて、今目の前に居る大好きな人の言葉だけを信じた。

私の休みと彼の休みが合えば、娘が学校に行ってる間に会った。
それだけじゃ足らず、早朝ジョギングと言って朝4時に家を出て近所の公園まで車で来てくれる彼と30分だけお喋りした。
ほんと、こーゆー時は普段じゃ考えられない体力がつくものだなぁ、と思い返しても感心する。今なら朝4時に起きるなんて冗談じゃない。お金もらってもやだ(笑)
会うようになって3ヶ月にもなると、キスはするようになっていた。彼はそれ以上したがったけど私は拒んだ。
旦那に悪いと言うよりは、大好きな彼をただの間男とゆうか浮気相手とゆう汚い立ち位置にしたくなかったのだ。ちゃんとした関係にしたかった。ちゃんと本命にしたかった。

こんなに好きになっちゃったんだから、もう旦那とは暮らせない。早く別れなきゃ。と毎日思っていた。タイミングを探してた頃、旦那が大型免許を合宿で取りに行きたいと言い出した。旦那とひとつ屋根の下に暮らすこと自体に違和感を感じてた私は喜んで送り出した。

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