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限界まで
しばらくぶりのnote。
やる事が山積みの木曜日。しかし全てが後手後手で、今は目の前に散らかった「やるべきこと」を拾い集め、分類し、そして片付ける。そんな作業をしている。
私には2020年の11月というのはなかったに等しい。ハロウィーン前くらいから頭痛がひどくて、体調が優れなかった。数週間前の週末の朝。とんでもない、頭痛で目が覚め、いや少し横になろう。と。
まさかそのあとに、自分が救急車で運ばれるとは思いもしなかった。
でも、こうなることはきっと無意識のレベルで知っていたのかもしれない。
運ばれる救急車の中で、救急隊員が
「最近ひどいストレスを感じたことは?」
そんな質問すらも、即答できず。ストレスの中に生きていて、今がチャンス!伝えるチャンスだ!外の人間にわかってもらうチャンスなのに。言葉が出てこなかった。
「例えばさ、仕事を失ったとか。人間関係だとか、あとは、大事な人を亡くしたとか」
最後の言葉に私の涙腺が即答する。そう、あの梅干しを見て唾液が口の中からあふれるように。
「そうか・・・。コロナで?」
と申し訳なさそうに聞く隊員。
首を横に振ると、
「人を亡くすって、自分が思う以上に、心身にインパクトを与えるものなんだよね。・・・・大変だったね」
優しい言葉を聞くことのない日常の中にいた自分。この「大変だったね」の言葉にまた涙腺が。隊員は足をポンポン、と叩いて、搬送先の病院に連絡を入れた。
彼が携帯を置いた後、私は振り絞る声で彼に質問をした。
「赤ちゃん、生まれたばかりなの?」
ストレッチャーで私を救急車に乗せた後、ドアを閉める際に、彼はパートナーとの会話が聞こえていたのだ。彼のパートナーは「あ、また眠れなかったの?」と。「朝と夜がどうやら逆転したようでさ」と。大きなため息とともに。
「あ、聞こえてたんだ・・・。そう3週間前に生まれてね。上に3歳の子がいるから二人目とはいえ、一からやり直しって感じだよ」と笑う。
その笑顔に疲労は見えるものの、嬉しそうに笑う彼。
「女の子?男の子?」と聞くと、「男の子。泣き方が豪快だよ」とまた笑った。
最近、赤ちゃんが生まれる話はヤフーニュース上での話で、現実には聞こえてこない話だ。
亡くなるほうが多い。特に今年は。
そして自分も後者に入りそうな勢いだ。
結局その日は、危険な状況だとういうことで、救急に一泊した。土曜の夜の救急はまさに動物園状態。そしてこのコロナの最中。何度か担当の看護師がコロナ用の黄色のガウンを付けて走り去るのを窓ガラス越しに見えた。警察官も何人かナースステーションに入り込んできた。
眠れる状況ではなかった。
しかし携帯でメッセージを送る気力も体力もなく。立ち上がることすら困難だったあの夜。うつらうつらしながらも、目が覚め。またうつらうつら。
朝食が食べたくなるほど、朝の7時には元気になっていた自分。
とりあえず、家に帰るくらい安全ではあるけれど、これから原因究明のため、検査の予約が必要になります。と救急のお医者さんに言われ、今まで拒否してきた薬を飲むことになった。
そう、「遠く」まで来すぎたのだ。この私の「体調不良」は5,6年前から始まっている。そしてなんとかなる、と勝手に信じ続けて、前に進みすぎた。
自分の体の限界を無視し続けてきた、結果。自分の心をとことん無視してきた結果だった。
心電図が外され。採決や注射のためにつなげておくプラスチックのようなものも取ってもらい、着替えをし、私は、退院した。
救急を出るときに、受付の横を通り、ふらふらしながら歩いて行った。入り口には見たことのない、「コロナ受付」があり。映画「コンテイジョン」を見ているかのような風景があった。
自動ドアが開き、外に出ると、冷たい風が吹いた。
私が運ばれた1日前は、暖かなハイキング日和の土曜日だった。今日はぐっと冷え込んだらしい。でも、秋の空がとてもきれいだった。
外が見えない救急の部屋にいからか、この冷たい風すらも、ありがたく感じた。
誰も自分の最期を選ぶことはできない。尊厳死以外は。でも。やはり、ぽくっと逝きたいと思った。病院の中で、無味乾燥な部屋の中で。ポジティブになることはできなかった。
でも、ただただ、自分のベッドに戻りたかった。ただただ、自分の部屋から見える空を見たかった。
あれから数週間。コロナ最中の中、検査で行ったり来たり。
元気にはなりつつも、体力も戻りつつも、まだ100%ではない。そしてドクターに会うたびに、あまりいいことが聞こえてこない。
「体の声を聴く」
改めて大事なことだと思った。限界を目指すのは若い時だけ。年を重ねたなら、限界にたどり着く前に、対策をしっかりとるべきだ、と。
今は体と会話をする日々。窓から見える近所の家々にはクリスマスのイルミネーションが付けられていることに気づいた昨日の夜。
もうすぐ私の大好きな12月がやってくる。