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🎬「수프와 이데올로기 / スープとイデオロギー」

※ネタバレを含みます。見たくない方はひっそりこちらでUターンお願いします🙏🏻



今月初め、とある映画が見たくてわざわざソウルまで飛びました✈️🇰🇷

ヤンヨンヒ監督の「スープとイデオロギー」という作品です。

私は普段これでもかと言うほど映画やドラマを見ません…。興味がないというよりかは、HSPだからか画面の中の人たちに感情移入してしまってとてもしんどくなるんですよね…。

しかし!そんな私が国を超えてまで見たいと思った映画がスープとイデオロギーでした。

話の主人公は、監督であるヤンヨンヒさんのお母様(オモニ)。

オモニは朝鮮総連の熱心な活動家であり、昔からとてつもなく韓国(南)を毛嫌いしていました。オモニは総連を支持しているものの、故郷は現在の韓国(南)にある済州島です。ヤン監督はオモニのその韓国嫌いっぷりを不思議に思っていました。

そんなある時、オモニが済州4.3事件の体験者であることを知ります。

オモニの4.3の体験、総連の活動、ヤン監督の結婚、そして進みゆくオモニの認知症…

他人の話だけれども、決して他人事ではない家族の話。

それがこの映画なのです。

オモニの家、ヤン監督のご実家は大阪生野にあるため、映画には見慣れた風景やお店がたくさん出てきます。

私が成人式の時にチョゴリで写真を撮った「安田商店」さんもガッツリ出てきていました(親近感)😊

オモニはヤン監督のお母様なのに、どこか時々自分のハルモニに見えてくる。

日本のハルモニにも、済州島のハルマンにもとてもとても会いたくなりました。
(翌日即ハルマンに電話しました🥹韓国にいる時しか電話ができないので、めちゃくちゃ喜んでくれて私がとても嬉しかった😭)

この映画の魅力は、題名の通り、北朝鮮と韓国、資本主義と社会主義、日本と朝鮮半島、日本人と在日コリアン、そういったイデオロギーがスープのように柔らかく溶けていく部分です。

ここからは個人的にグッときたシーン、印象に残ったシーンについてあまりネタバレしすぎない程度にお話ししてみたいと思います。

①제주도자랑가(済州島自慢歌)を歌うアボジ
冒頭に出てくるこのシーン。アボジは総連のいわゆるお偉いさんですから韓国の歌など歌うわけがないと思っていたのですが、なんとこのシーンでは酔っぱらいながら、歌詞を間違えながらも一生懸命「済州島自慢歌」を歌うのです。ヤン監督のお話によれば、アボジは認知症が進むにつれ北の歌は歌わなくなった代わりに済州島の歌を歌うようになったのだそうです。音楽というのは記憶と非常に関わりの深いもので、10代の頃に聞いた音楽は特にずっと記憶に残ると言われています。皆さんも心当たりありませんか?アボジは済州島から大阪に渡ってきた在日コリアン1世ですから、小さい頃は済州島で歌を歌いながら、あるいは周りの人の歌を聞きながら過ごしていたのかもしれません。総連のお偉いさんでありながら、懐かしそうに、愛おしそうに済州島自慢歌を歌うアボジの姿を見てグッと来るものがありました。
tmi:会場では、アボジが歌詞を間違えていた時に笑いが起きていました。決して嘲笑いではなくなんというか温かい笑いでした。(韓国語の歌だし済州島について歌っている歌なので韓国の人たちはおそらく日本の人よりも早く歌詞の間違いに気づけるし、そのおかしさがわかるのです)

②ヤン監督とカオルさんがチョゴリで写真を撮る時のオモニの微笑み
ヤン監督はこの映画の撮影中にカオルさんという方と結婚なさり、映画にはカオルさんがご挨拶に来るところや、オモニと一緒に参鶏湯を作るシーンなどが出てくるのですが、その中でヤン監督、カオルさん、そしてオモニの3人でチョゴリを着てウェディングフォトを撮影するシーンがあります。まず最初にヤン監督とカオルさんが2人で撮影をするのですが、その姿を見つめるオモニの表情がグッときました。成人式の時にチョゴリを着て写真を撮っていた私を見つめるハルモニの表情にそっくりだったのです。「愛おしい」という感情が爆発したような、その微笑み。なんだか見ているだけで感動しちゃうような表情をしていらっしゃいました。
(ポスターはこのシーンのお写真を使われてるようです)

オモニのこの笑顔、とっても素敵


③애국가を一生懸命歌うオモニの姿
オモニが済州4.3事件の体験者であることを知り、ヤン監督はオモニを済州島で行われる済州4.3事件の追念式(慰霊祭)に連れて行きます。総連の活動家であるオモニは「朝鮮籍」であるため、普段はそう簡単に韓国に行くことは出来ないのですが、4.3事件70周年の年、当時の大統領であった文在寅が「朝鮮籍」の人も慰霊祭に参加できるよう臨時パスポートの発行を許可したのでした。島を飛び出して大阪に逃げて以来、約70年ぶりの済州島を訪れたオモニ。認知症が進行しているものの、バスから済州島の景色を見る時には興味津々にどこか悲しそうに島の景色を見ているのでした。慰霊祭では、韓国の国歌である애국가(愛国歌)を歌う場面があったのですが、日本で育った上、総連を支持しているオモニはもちろん韓国の愛国歌など知る由もないはずなのに、一生懸命周りの人に合わせながら愛国歌を歌うのです。それも、なかなか歌詞やリズムが合っているのです。もしかすると祖国の国家をひっそりと練習していたのかもしれません。済州島出身でありながら、日本で育ち、総連を支持してきたオモニが韓国の愛国歌を歌う様子にはグッとくるものがありました。まさにイデオロギーがスープのように溶けているのを見た瞬間でした。

④母を責めることができなくなったと涙するヤン監督とオモニ
ヤン監督は、慰霊祭に出席した後、オモニと共に記念館や慰霊碑を見て周ります。そこには想像を絶する事件の記録と展示が。直接の体験者でなくても、展示を見ただけで心が張り裂けそうになる、そんな展示のようです(私はまだ見れていません)。そんな展示を見た後、済州4.3研究所の方々とお話をするシーンがあります。監督は、4.3事件の全貌を知ってとても苦しくなったと、こんな事件を背負って生きてきたオモニがどれだけしんどかったか、そう思うと総連を頑なに支持してきた母のことを責められなくなると涙を流します。しかし、その横に座るオモニは認知症で娘の話を理解していないのか、とてもぼーっとした、何も知らないような表情をしているのです。そのギャップがとても印象的でした。

実は、映画が終わった後GV(監督とゲストが直接お話をしてくださるトークショー的なもの)があり、ヤン監督とYouTuberの거의없다さんのお話を聞きました。映画に関する小話や、映画には入れられなかった裏話など様々なお話をしてくださりました。最後には、観客の質問タイムがあったので、「憧れの監督と直接お話ができる機会なんてそうない!」と思い勇気を出して手を挙げました。

監督とお話ししたいことは山ほどありましたが、私が最終的に監督に聞いた質問、それは「ハルモニと残された大切な人生の時間をどのように過ごすべきか」でした。

私のハルモニは御年74歳です。

ここ数年、どんどんと歳をとっていくのが、弱っていくのが目に見えてきて「実は残された時間は思っているほどそう長くはないのではないか」と感じてきているところでした。

最初はとってもキレッキレで元気な大阪のおばちゃんだったオモニが、認知症を患いどんどんと弱っていく姿が、近年のハルモニに重なり、聞いてみたのでした。

ヤン監督は、まずその歳であれば(緊張して間違えて祖母は54年生だと言ってしまいました…6歳もサバを読んでしまった…😅)まだ充分に時間は残っていると、正直に(素直に)いる他ないと、そして他人に公開するにせよしないにせよ、家族の話をたくさん聞くことはいいことだとアドバイスをくださりました。

すると、거의없다さんに「もしかしてヤン監督のように映画でも作られているのですか?!」と聞かれたので(笑)「映画は作っていませんが、ブログのようなもの(このnoteです)に家族や自分の話を書いています」と答えたところ、ヤン監督から人の(家族の)話を上手に聞くコツを教えていただきました。

1つ目は、まずは「自分の話をたくさんすること」です。ハルモニに対して自分の話をたくさんすれば、「いや、あんたの話はもうええわ、ハルモニはな…」と自然と自分の話をしてくれるといいます(笑)でも、この話、なんとなく分かる気がします。やはりいくら人の話が聞くのが好きでも、ずっと人の話ばかりを聞くのはしんどいものですし、「おばあちゃん」というのはなぜかおしゃべり好きの人が多い印象があります。

2つ目は、「直接聞きたい話とは別の話題についてもたくさん質問すること」です。これは本当にそうだと思います。雑談って結構大切なことや面白いことを話したりするんですよね。なんやかんや改まってインタビューをする時よりも、普段何気なく会話している時の方が貴重な話が出てきたりもします。

こんな素敵なアドバイスをヤン監督からいただきました。決して長い時間が残されているわけではありません。だけど、来年には祖母も父も一緒に家族みんなで済州島に行く予定ですし、もっと頻繁にハルモニに会いに行って、たくさんお話を聞いておきたいなと思います。

GV終了後には、何と監督からお名前入りのサインをいただきました🥹

監督、ありがとうございます😭

うれし〜!!

まだ、ヤン監督について知ったばかりなのですが、これから過去作もぜひみていきたいと思っていますし、今後の作品もとても期待しております!

ということで、こんな感じで映画「スープとイデオロギー」のレビュー終了です📝

実は、私がソウルにいた間に日本の上映が終了していて、日本に戻ってきたら韓国での上映が始まったというのを聞いて見に行ったのですが、今月からまた大阪や東京で上映を開始したみたいです…!(笑)お時間のある方、興味のある方は是非劇場まで足を運ばれてみてください😊泣いて、笑ってとっても心の温まる映画になっています。

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uri
おばあちゃんと済州島に行きたい!

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