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私はそれを「押し付け力」と名付けたい

なぜ、我が子が「ありがとう」を言わないのか、と早朝から私の母親が怒っている。

それは、“ありがとう”と思ってないからじゃないか、と反論してみる。


子育てができていないじゃないか、と母親が怒りをぶつけてくる。

同じ家に住んでいるんだから、あなたも子育てに参加しているんじゃないの?と反論してみる。


いつも難しそうな顔をしているね、と指摘してくる。

そんな母親の眉間にはしわが寄っている。


もっとあっけらかんと生きなさい、と悟ったようなことを言う。

あっけらかんと生きたほうがいいのは、母親だと、心底思う。


白黒はっきりつけたい性格なのだ、と母親が言う。

世の中にはグレーもあるし、はっきりさせないまま進んでいくものがたくさんある、と伝える。

そんなこと、お父さん(母親の夫)も言っていた、と母親が言う。

でも、白か黒かはっきりつけたいのだ、とまたもや言う。


「なんとかなるさ」と楽に生きればいい、と母親が言う。

そんな母親が「なんとかなるさ」と思っているようには見えない。

「〇〇すべきだ!」「△△あるべきだ!!」と思い込んで生きているように見える。


言いたいことを言わずに、流して生きていけ、と母親が言う。

そんな母親は言いたいことを言っているように見える。

私も、ある程度言いたいことを言う…もともと、そういう性格だから。

すると、意見の違いに気付いた母親が怒り出す。

意見が違うのは当たり前なのに、違っていることに腹を立ててくる。


冷静に話を聞いていると、とっても矛盾していることに笑えてくる。

話のほとんどが、〇か×か、でとらえていて、

押し付けられているように感じる。

そこで、押し付けているんじゃないの?と静かに言ってみる。


「私は、押し付けているつもりはない!」と母親が言う。

でも、現に押し付けられていると感じる息子がいる。

これは、我が子(母親から見れば孫)に対してもそうだと思う。



相手を変えることはできない。それはよくわかっている。

そこで、押し付けることが得意な(?)母親を、押し付けの得意な存在として見てみる。


私には、なかなかその考え方ができない。

押し付ける、というのは、相手にとって「やりたくないことを無理やりやらせること」だと思うから、あえて控える。黙っている。

やりたい、と思ったときにやることが一番効率的だと思うから。


「そんな合理的なことばかりで世の中は成り立っていない」と母親が叫んでいる。

逆に言うと、押し付けることによって我が道を進んでいる母親はすごいと思う。


この人から学ぶことは多い。

まだまだ元気でいてくださいな。

そして、子育てを一緒にやっていきたいな、というわがままもある。

子育ては親の仕事だ、と言わんばかりの押し付け力。

「普通に育ってほしい」が口癖。

それこそ、白か黒かはっきりつけずに、グレーでとらえている言葉。


矛盾だらけで、笑えてくる。

「私は、あと20年生きるからね」と70手前の母親が言う。

自信満々で、相手に押し付けていく力。



この「押し付け力」から学ぶことは多い。また、私の糧としたい。



そんな朝の言い合いが幸せ。

言いたいことを言わないほうがいいと思っていながら、言いたいことを言い続けている母親のお話でした。

まぁ、いろいろあると思うけど元気でいてくださいな、と伝えた。


「せっかく買ったお菓子、持って行きなさい」と差し出された。

「おいしくなかったから、あげる」と。

一口食べて「おいしいね」と言ったら、大笑いしている。

「うそだ!そんなものが美味しいなんて!」


母親の押し付け力は、他の追随を許さない勢いがある。

私は、母親の押し付け力を糧として生きていきます。



きょうも、みなさんが幸せでありますように。






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