【ネタバレあり】ドラマ10「大奥」第1回感想
ついに始まりました。
制作発表からずっと楽しみにしていた
NHKドラマ10での、よしながふみさん原作「大奥」
今回は全編を完全ドラマ化ということで
今までまだ映像化されていないエピソードが楽しみです。
種痘を作るために奮闘する場面や
治済のサイコパスぶり
大政奉還に向けての畳みかけるような展開など
どうなるんだろう、とワクワクしています。
第1回は12日に放送されて、タイムラグができてしまいましたが
感想をできるだけ書いていきたいなと思い
noteでマガジンを作ってみました。
※最初に私のスタンスをハッキリさせておくと
私は「男性は、女性は」というくくりや、枠に対しては
とても違和感を覚えている人間です。
しかし「男性と女性の違い」というのはあると感じています。
あと、この「大奥」から私が最も感じているのは
生まれた時の性別としての男女はあれど
男性の中の女性的な面
女性の中の男性的な面
これらも含めて、さまざまなことを考えるきっかけを頂けることです。
普段は「イケメン」「美男子」などの、捉え方によっては
そのジェンダーの枠に入れてしまうような発言や
見た目を評価するような内容は
極力控えておりますが、この感想におきましては
必要があればそれらの表現をあえて使うことがあります。
ではさっそく、第1回の感想。
いきなり赤面疱瘡の場面から。
この世界線の肝だから当然なのだけど
それほど怖い描写になっていなくて良かったです。
ただ、この「男子しかかからず、ほぼ死に至る疫病」によって
男子の数が極端に減ってしまったことで
男女が逆転し、社会が運営されていきます。
このベースをしっかり把握してから
ドラマを観ていく必要があります。
さて、初回は八代将軍吉宗公が
将軍になる時と、水野祐之進のお話です。
最初に画面に現れた、たくさんの美男子の方々。
しかし!
一番カッコよかったのは
将軍・吉宗様でした~✨
原作から抜け出してきたような
キリっとした吉宗様。
場面変わって、水野さんとお信ちゃん。
水野さんが大奥に入るまでの経緯。
本当は、水野さんもお信ちゃんが好きなのだろうけど
身分が違うことで、諦めている。
ご家族の女性陣が苦労しているのも知っていて
「俺がいなくなった方がいいんだ」
「武士の男は将軍様のお相手になるしか出世の道がない」
とても悲しいセリフ。
お信ちゃんの幸せを願いながら
ちょっと泣きそうな顔で、江戸城に向かう水野さん。
しかし、大奥のヒエラルキーはすごいですね。
お目見えとお目見え以下
お目見え以下の中でも、お端下があります。
お端下は薪割りなどの重労働です。
※歴史上の大奥でも、お端下はお風呂や掃除などの
重労働をしていたとのことです。
この後、水野さんは新参者の洗礼を受けることになりますが
この道10年の大先輩、杉下さんに気に入られて
いろいろ教えてもらえるようになります。
が!
やはり、気風の良い江戸っ子気質の水野さん
ひと悶着ありまして、先輩たちから嫌がらせを受けます。
ここは尺の問題なのかはわかりませんが
鶴岡さんとのエピソードはざっくりカットしていました。
あの時の水野さんの「お信 ここは 暗い」が
逆転大奥の、男の嫉妬やプライドの闇の深さを
物語っているので、飛ばされたのは残念ですが
ドラマとしては、なくても成立していました。
ひと悶着あったことで、夜、先輩たちからの「かわいがり」
ここは入れるんだ!と思った、夜の…の話。
藤波様のお耳に入るエピソードが
鶴岡さんとの一件じゃなくて、こちらの「騒動」になったのですね。
その後で藤波様が柏木を「可愛がっている」ところも
ちゃんと映されていて、この後起きる展開にも
つながるように整合性が取られていました。
原作ファンも大事にしているのが伝わってきます。
藤波様に声をかけられる水野さん。
「周りの女を幸せにするために来ました」
ここで改めて、水野さんという人物を感じてみると
実は現代の、特に女性が割とやりがちな(男性でもありますけどね)
「相手のためを思って行動する」を
体現しているのが、水野さんなのだと感じました。
本当はお信ちゃんは、水野さん以外と結婚したくない。
お母さんやお姉さんも、水野さんがいなくなることは
望んでいないかもしれない。
でも、対話することなく「その方がいいんだ」と決めてしまう。
ここでは水野さんが表現しているけど
実はそれ、あなた自身が考えただけの解決策ですよ。
これが、ちゃんとラストに生きてくるのが
改めてすごいなと感じました。
武芸を褒められ、藤波様からお相手を…と言われ
喜んでいる水野さんに杉下さんが
「(藤波様のお相手、とは)別のお相手かもしれませんよ」
あー…どちらかというと、そっちの可能性が高いのでは…(汗)
場面変わって上様と間部詮房様。
このシーンでは、間部様は上様にビシッと贅沢を指摘され
引き下がっていますが、家宣、家継に仕えた彼女にも
また、物語があります。
国分佐智子さんがキャスティングされていましたので
その時に詳しく語られるのが楽しみです。
で、その後の上様と久通さんの2人のシーンがすごく良かった!
原作から抜け出たような2人。
特に貫地谷しほりさんの久通さんの、ふっくらしていて柔らかく
人を油断させるような雰囲気なのに、内に秘めているものは鋭い
その感じがピッタリでした。
この久通さんを観たかった!と思いました。
上様は江戸の町をコッソリおしのびで視察。
この場面での上様とのやり取りがあって
藤波様と久通さんの、一見穏やかだけど
タイマン勝負に見えるやり取り。
「この国の行く末にござります」
ああ、この上様と久通さんコンビ、最高だな。
初めて大奥観た方は、え!今回で吉宗、終わりなの?
と思った方もいらしたと思いますが
このドラマ版では特に、ちゃんと紀伊の時と、
水野編の後の吉宗も描かれることが前提での
このキャスティングだと思います。
さて、お中臈水野様が爆誕しました。
これも杉下さんのサポートのおかげですよね。
このお取立てにはもちろん裏があったわけですが
杉下さんが部屋子になってくれて、水野さんも心強いでしょう。
お針子さんとのシーンもとても良かった。
水野さんの好きな「江戸っ子の粋」を生かして
裃を作ろうとしてくれるお針子さん。
そうそう、原作では本来、水野さんがお針子の垣添に
惚れられちゃうエピソードもあったのですが、これもカットでしたね。
待望の総ぶれシーンです!
お鈴廊下を歩いてくる上様、本当にかっこいいです。
冨永愛さんはモデルさんなので、立ち姿、歩き方が
決まっているから、お鈴廊下のシーンが本当に映える。
ここで勇気を出して(でも本当は自分じゃないのに)
「わたしです」
と言った水野さんが、上様に気に入られて
その日の夜のお相手となりました。
水野さん、そういうことになるって知らなかったの
原作通りですが、そういえば、杉下さんがいるのに
このこと知らなかったの意外だなあ。
夜の閨の場面。
水野さん、緊張しているのが伝わってきます。
現れた上様は、きさくに水野さんに話しかけて
水野さんの緊張をほぐそうとしてくれていました。
こういう心遣いが、上様の凛とした気高い人間性が伝わって
自分が上様だからって、男性を思いのままにしようとはしていない
力でねじ伏せようとしているわけじゃないと感じました。
やっぱり上様かっこよすぎる。惚れる。
ここで原作とドラマの大きな違いは
原作では、もうこの場面の時点で
「ご内証の方は死罪」と上様も水野さんも知っています。
でも、ドラマではそのことはわかっていない状態なので
水野さんの愛するお信ちゃんと同じ名前の
上様=信さまの「名前を呼ばせて頂く」エピソードはカット。
ただ、ドラマ版だけの流れとしても
上様が自分の女名を伝えることは
「上様がお相手を選ぶ時は、名を訊く」
ともちゃんとつながっています。
人と人として向き合おうとする上様のお人柄が
にじみ出ていた場面でした。
よき時間を過ごせてご機嫌の上様に
寝耳に水の話。水野さんはご内証の方なので、死罪と藤波様から。
水野さんは、そのことを聞いて呆然。
杉下さんは「何とかいろいろ調べてみましょう!」と言うが
心が曇るからやめてくれ、と。
ここは原作通りで、水野さんの潔さが悲しくて痛いくらいでした。
藤波様と柏木の会話で
ご内証の方のことを分かっていて、わざとやった、と。
水野さんは都合が良かったから選んだだけで
ご内証の方のことで、上様と久通さんに
ぐうの音も出なくさせたかった藤波様。
上様は水野さんを、ひとりの人間としてリスペクトしたのに
藤波様は、完全に捨て駒扱い。
原作にもあるこの対比も、ドラマできちんと描かれて
素晴らしかったですね。
最後は上様と久通さんが知恵を絞って
藤波様をぎゃふんと言わせると同時に
水野さんが「お中臈・水野」として死んで
町人・進吉となり、お信ちゃんと結ばれることになります。
もうね
この上様のご沙汰と、久通さんがいろいろ準備したであろう
采配の完璧さが最高でした。
何も望まない、野心も(ちょっとはあったかもしれないけど)
自分の欲望からというよりは、生まれてきたからには…という
純粋な願いからだった水野さんは、生まれ変わって幸せに。
そして、この後の上様の
「35歳以下の美しい男性を集めなさい」
の場面での、かっこよすぎるご沙汰がまた、粋でした。
原作通りですけど、冨永愛さんがキリっとしていたから
伝わり方が本当に違っていました。
藤波様と、久通さんの場面。
このガチンコ対決もまた見られるかな。
久通さんは、敵に回すと本当に怖いタイプよ。
藤波様、お気をつけて。
第1回、スカッと堪能できました。
ドラマの初回って、つかみが大事だから
水野編は1話完結で、中身としても
この世界線の大奥の概要をわかりやすく示していました。
しかも過度な説明的セリフもなしで。
水野さんが大奥にあがったという設定で
視聴者も一緒に、杉下さんから説明が聞けるという
自然な流れになっていました。
冒頭に赤面疱瘡の話も入っていたので
女性が中心の社会になっている理由も提示されていましたしね。
今回心に残ったのは
「俺たちは金魚」
と言っている水野さんのシーンです。
値踏みされ、鑑賞されるために囲われている悲しみ。不条理。
今回の吉宗公はとても理知的な将軍様ですが
あの世界線では、将軍様のお心ひとつで
自分の宿命が決まってしまう男性がたくさんいます。
本当に理不尽なことも起きていくのです。
もっとくだけた感想だと…
「上様~💖」
となる展開がちゃんと再現されていて、最高でした。
あんなにたくさんの魅力ある男性陣がいるのに
冨永愛さんの吉宗公がカッコよすぎて、惚れてしまいます。
あと、加納久通が最高に好み❣
柔らかい中に鋭さを秘めている姿が
完璧に再現されていました。貫地谷しほりさんで良かった~。
あんなにかっこいい男性陣をそろえているのに
琴線に触れるところが、ことごとく
男性陣ではないところがね(笑)
(愛之助さんの小物ぶりと悪役ぶりの表現は
さすがだと思いました。本来、かっこいいのにね)
これからどう描かれるのか
とても楽しみです。
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