夜の匂い 夜気を吸い込む
夜の匂い
しっとりとして、どこかホッとするような気持ち良さ。
ああ、もう今日も夜が来た。
昼間の世界の現実感が薄れ、大気の中にかすかな夜の匂いが混じり始める。
夜気を吸いに、夜空を楽しむために、高いところへ行こう。
月の儚い光の中、薄い闇が世界を覆う。
この闇の色は不思議を多く含む色。
昼の雑事に疲れた体が、少しずつ軽くなる。
ひんやりした夜気を胸いっぱいに吸い込む。
頭と体のどこかに、脈打つ赤い血に、野生の力が少しだけ蘇る。
気分が高揚し始めたら月に叫ぼう。
昔のように、狼のように。
絵 マシュー・カサイ「夜の匂い 夜気を吸い込む」水彩 和紙 1091X788mm
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