青空の下、イチョウ並木を歩いた 今が一番のイチョウの黄葉 黄色の大木がずっと先まで並んでいる 木の根元や道にまで黄金色のイチョウの葉がフカフカと積もっている まだ鮮やかな色で柔らかく、枯葉には程遠い 視界一面に黄金色が揺れる なんと豪華で豊かな色だろう ここまで視界が黄色に染まることは ない 青空からの日光を浴びてさらに輝く くるくる舞い落ちてくる葉も美しい 秋を代表する色 風も光も黄金色 春の桜が夢幻や儚さを感じさせるのに秋のイチョウからは豪華さや豊
以前ヨーロッパを旅行した パリを歩いた記憶が断片的に頭に浮かんだ 初めての欧羅巴 言葉が心配で不安いっぱいのまま歩いた街 日本と全く違う町の印象 石造りの芸術的な建物 長い長い歴史の重み すれ違う人はすべて異世界人に見える その不安を抱えたままのドキドキ逍遥が楽しかった 不思議で美しい街並みの上には陰鬱な曇り空 建物の彫刻に灰色の雲がよく似合っていた 雲の隙間から幾筋か日光が差し込み光のカーテンが見えた その時、ああ、ここはキリスト教の街なんだなと思っ
秋色の森 豊穣の色 安らぎの色 赤や黄や茶色の木の葉 カサカサと落ち葉を踏んで歩く 木洩れ日はキラキラと輝き、わずかな秋の風 木の間から見える秋空の青 枯葉の匂い 山鳥の声 緩やかな森の道は秋を楽しめる 深呼吸すると鼻の奥に秋を感じる 拾い上げた枯葉の美しさ 落ちている木の実の艶 蹴飛ばした小石の音まで秋らしい 歩きながら満足 夏がとても暑かったから。 絵 マシュー・カサイ「秋の森 木漏れ日の道」水彩 P60
ここは高原のようだ いつか来た美ヶ原高原に似ている 寒いような風の中、明るい色のコスモスが見えた 赤、黄、白、ピンク、夢のような色が見渡す限り広がっている 風に揺れながら波のようにゆったりと、歌うように咲いている 高原の端は崖になっていて、底の方から白い霧が湧いている。 霧は風に乗って大きく育ち、コスモスの高原を飛んでいく 雲だ。雲になっていくんだ。 生まれたての霧は、ゆっくりと舞い上がり青空に浮かぶ雲になっていった。 不思議な光景 澄んだ空気の中、山や空
夕焼けが綺麗だった。 秘密の場所に来て、夕陽を眺めた。 ここなら誰も来ない 最高の場所から、ひとりで空に見惚れる。 不思議だ。 なぜあの青くどこまでも続いていた空が、こんな風に赤くなる どこからか雲も集まってきて様々な形を見せる 何だか絵のような、ダンスのような、戦いのような。 空想は果てしなく続く 赤やオレンジや黄色の輝き 神様しか作れない美 恍惚の表情で見上げる ほんの数分しか見れない最高の舞台 今日の夕焼けが最高だと、今まで何回も思った 自然
久しぶりに空へ。 秋の涼しい大気を味わいたくて飛んでみた。 幸い雲が多くて目立たない。 日光もあまり暑くなく、肌に優しい。 ああ、空の青に染まりそう。 思いっきり深呼吸する。 手足をいっぱいに伸ばす。 頭の中からモヤモヤがスーッと消えていく気がする 眼下の景色も少しづつ色づき始めて、楽しみだ 一年のうち、こんな気持ちいい日が何日あるだろう 真上を見ると、吸い込まれるような濃い青空 少し怖いくらいだ 風にゆっくり流れていく雲も優雅 林のあたりから黒い雲
歩いている途中、眩しさに足を止めた 白く輝く光が視界を覆った 見上げると雲の縁から太陽が顔を出し、輝いている。 その美しさにはっとした。 見渡せば、いつもの帰り道 見慣れた、何の変哲もない街角 その普通の景色が輝いて見えた なぜかとても大切なものに感じた。 さっきまで、考え事で眉間に皴を刻んでいたはずだ。 気分はよくなかった。 でも、今は小さな感動で穏やかな顔になっている 普通の,,ありふれた日常 光の中を歩く 幸せなことなんだ。 もう少しゆっくり
ここ数日急に涼しくなり、不思議な気がした。 どうせまたすぐ暑い日が来る。 でも、今朝も涼しかった。 本当に秋が来たのかな。 年々ひどくなる温暖化のせいで、秋はとても短く感じられる。 でも、酷暑をさんざん味わった後だからこそ秋風が笑顔になるほど気持ちいい。 夏のエネルギッシュな入道雲は、柔らかな光の鰯雲へと変わってきた。 ホッと一息。 スルッと肌に感じる服の感触がさわやか。 草むらにはもうススキがたくさん揺れている。 コオロギの鳴く声がする。 空も山も街も
大気の中に藍色の光が混じりだす。 熱く輝いていた太陽が沈んでいく。 空気の匂いまでもが変わっていく。 肌にはしっとりとした風を感じる。 夜が来る。 今日も雑事に追い回され、終わっていく。 でもこれからは夜。 日常とは少し違うのだ。 何が起こるかわからない。 何か起きないかな。 いつもと違う何かを求める。 夜の街を歩くのもいい。 知らないお店で飲むのもいい。 昼間と違って雑踏も面白い。 人々の顔から仕事が消える。 感情と人生がにじみ出る。 夜の魔
心が重くなるとここに来てしまう。 耐えていてもだんだん積もっていく黒いストレス。 生きていくうえでストレスは仕方ない。 でも気付かないうちに俯き、肩を落としている。 気分は昏く、静かなため息が続く。 考えても仕方のないことが多い。 誰に言っても解決しない。 誰にも言う気もない。 そんな時無性に海が見たくなる。 大きな空が見たくなる。 九月の空。 誰もいない海。 今日初めて顔を上げ、深呼吸した。 ものすごい大空間。 限りない空と果てしない海。 砂粒
午後の公園 まだ少し暑い中、歩く。 真夏にはここを歩く人も少なかった。 今は、人々にも笑顔が多くみられる。 学校帰りの子供達も、雀の群れのように飛びはねてる。 秋の気配はあるが、光眩しい空。 公園の噴水の水がキラキラと輝き、水音が気持ちいい。 花壇の枯れかけたひまわりたちが最後の元気を振り絞っている。 明るい光の中、子供たちの笑顔と笑い声、人々のざわめき。 スズメやハトが餌を探してチョコチョコ動いている。 何だか昔見た映画のワンシーンみたいだ。 いろんな
今日は海岸に人が少ない。 あれほど賑わっていたのが、嘘のようだ。 相変わらず日差しは暑い。 でもその暑さの中に、一瞬涼しい風が混じってくる。 大勢の人声も、鳴り響いていた音楽も聞こえない。 この方がいいなと思いながらもなぜか少し寂しい。 夏の終わり 言葉にしてももの悲しい。 波打ち際を歩きながら、今年も海の水に触れるのは今日が最後かなと思う。 祭りの後のような空虚感。 相変わらず綺麗な青空の向こうから、壁のように大きな雲が近づいてきた。 大きな雲の奥は暗
夜空を眺めにお気に入りの場所に来た。 山並みハイウェイの中の秘密の場所。 絶好の天気で、満月も白銀の光を放っている。 見下ろせば暗闇のあちこちに光の巣のような街明かり。 彼方には黒い海が静かに広がっている。 意識を集中して眼の感度をあげてみた。 暗く見えていた夜空に、光をバラまいたような大宇宙が出現した。 今日は風が強かったから空も綺麗なんだろう。 数えきれない数の星。天の川のような輝く星の集団。 見惚れるうちに、いくつかの白い流れ星が夜空を走った。 ペル
大きな滝の前に来た。 山の中の大滝。 揺れるような、地響きのような滝の音。 圧倒的な水量の迫力。 吹き上がるしぶきと水煙で周りが白く見える。 強い夏の光も白く霞んでいる。 最初はその迫力に息をのんだが、徐々に慣れて近づいてみる。 顔に霧のようなしぶきが飛んでくる。 日差しで熱くなっていた髪も服もしっとりと柔らかくなる。 オゾンなのだろうか、空気がかなり違う。呼吸が気持ちいい。 キラキラと煌めく瀑布。 空気も輝いている。 滝つぼの深く暗い青。 疲れも悩
火傷しそうな熱い砂浜を歩き、海に入った。 照りつける太陽は肌に痛い。 ひとけのない海辺は静かで、波の音だけが聞こえる。 素足に感じる海水は心地よく、燃えそうな体を冷やしてくれる。 沖にも一隻の船も見えず、どこか知らない遠くの場所のようだ。 海の水が綺麗。 誰もいないとこんなにきれいなんだ。 エメラルドグリーンと沖の方はコバルトブルー。 思い切って頭まで海に入ってみた。 海の中も明るい 波のまだら模様が海底に揺れる。 飛び出してハーッと息を吸い、顔を手でぬ
きれいな風鈴の音が聞こえてきて長い石段を駆け上がった。 朝の古いお寺の参道。 吹き抜ける風に、うっすらとかいた汗も消えていく。 そこには数えきれないほどの風鈴が、揺れていた。 夏の暑さを忘れてしまう、軽くて乾いて儚い音色。 四方八方から、ささやきかけるように聞こえてくる。 聴いているとなつかしい子供時代に戻ってしまうようだ。 ガラスの風鈴が多くて、半分は空の色が透けて見える。 まるで空から舞い降りた賑やかなお使いだ。 風鈴同士が楽しくおしゃべりしてるよう。