旅の記憶のかけら 巴里
以前ヨーロッパを旅行した
パリを歩いた記憶が断片的に頭に浮かんだ
初めての欧羅巴
言葉が心配で不安いっぱいのまま歩いた街
日本と全く違う町の印象
石造りの芸術的な建物
長い長い歴史の重み
すれ違う人はすべて異世界人に見える
その不安を抱えたままのドキドキ逍遥が楽しかった
不思議で美しい街並みの上には陰鬱な曇り空
建物の彫刻に灰色の雲がよく似合っていた
雲の隙間から幾筋か日光が差し込み光のカーテンが見えた
その時、ああ、ここはキリスト教の街なんだなと思ってしまった
この街には教会とクラッシック音楽が似合う
立ち寄ったカフェでコーヒーを飲みながら異郷の街を眺める
この町に住んだらどんな人生になるのかな?
ふとそんな思いが浮かぶ
旅人だから楽しめる思い
頭の中に外国の風が通って不思議なくすぐったさ
一休みの後はどっちに行こうか
一人遊びの旅はまだまだ続く。
絵 マシュー・カサイ「旅の記憶のかけら 巴里」水彩 P60