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雨 天のしずく
傘をさして雨の中を歩く。
駅前の大通りは雨でも多くの人が歩く。
パラパラと傘や道路を叩く雨音。
殆どの人は傘を深く差し地面を見て歩いている。
暗い街に色とりどりの傘が咲く。
ちょこちょこと揺れ鮮やかな花やキノコが行進しているようだ。
大きな黒い傘やオシャレな女性傘。
ゆっくり歩くお年寄りの傘。
小さな子供の傘達が勢いよく走っていく。
傘達は雨の街の主役。
みんなが急ぐ中、私は空いたスペースで空を見上げてみた。
黒い雨雲に覆われた空。
その空のはるかに高いところから降って来る水滴たち.
白い光の尾を引いて無数の雨が降って来る。
すぐに顔も肩も雨に濡れた。
肌にぶつかる刺激が気持ちいい。
天からのしずく。
よく見れば、雨雲のところどころに明るい光が滲んでいる。
あの上には青空が広がっているんだな。
ビルも道路も街灯も黒く濡れて雨に打たれている。
シャワーを楽しむように。
雨の音を楽しみながら街を歩こう。
この時期ならではの音。
「雨に濡れても」のメロディーが頭に響く。
足取りが軽くなった。
絵 マシュー・カサイ「雨 天のしずく」水彩 和紙 1091X788m