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落ち葉の道 西日の街
旅行が終わり、帰ってきた。
近所の並木通りを、疲れた体でゆっくり歩く。
安心感と少しのなつかしさを感じながら西日の街を眺める。
ほんの十日ほどで季節はかなり進んだようだ。
ようやく黄葉がきれいになり始めていたのに、今はだいぶ落葉している。
風にいくつもの枯葉がカサカサと転がっていく。
まるで生き物のように。
頬に感じる風もかなり冷たくなった。
転がってきた枯葉をクシャッと踏んでしまった。
まだ一部鮮やかな色を残した葉だった。
あー。ごめんね。
なんだか寂しいような申し訳ないような気分。
人通りも少なく、みんな首を縮めて俯き加減で歩いてる。
次第に強くなってきた西日がビルと並木を照らす。
燃え上がるような色が浮かび上がる。
木々の残った葉っぱがフィナーレを盛り上げるように輝いている。
綺麗だ。
しばし見惚れて、褒めてあげたくなった。
今年も頑張ったね。
ちょっとうれしくなった。
さあ帰ったら今夜は温かな食事をしよう。
絵 マシュー・カサイ「落ち葉の道 西日の街」水彩