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雨雲を抜けたら 

数日雨が続いた

止んでも分厚い雨雲はそのまま

せっかくの紅葉や秋空の輝きが楽しめない

傘を持って歩く街は何となく沈んだ暗い顔

知らないうちに気持ちは憂鬱になっていった

やはり、日の光が恋しい

ある日、雲の切れ間を見つけた

思わず飛んでいた

霧雨を突っ切って天に向かった

雲の切れ間の端からカーテンのように伸びる光の筋

そのカーテンに引き込まれるように飛んだ

雲の切れ間に近づくと頭上から温かな光

自分の全身が光で輝いた

そのまま厚い雲の谷間を抜けていく

周りが眩しい白い光に包まれ、見渡すと雲の大海原

地上からは黒い雨雲だったのに上から見ると真っ白の世界

優しい風が吹き、ポカポカと温かい

雲の上には秋の透明な青空が気が遠くなるほど広がっていた

キーンという耳鳴りのようなものを感じた

それ以外は全くの無音

空に浮かびながら目を閉じると明るい公園で寝転がっているようだ

気持ち良さに笑みがこぼれる

あの暗い長雨の後だから余計に気持ちいいんだな

しばらく白い雲の上の散歩を楽しんだら帰ろう


もう気分はすっかり秋晴れだ。



絵 マシュー・カサイ「雨雲を抜けたら」水彩 P50



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