風鈴の道 朝顔の花
きれいな風鈴の音が聞こえてきて長い石段を駆け上がった。
朝の古いお寺の参道。
吹き抜ける風に、うっすらとかいた汗も消えていく。
そこには数えきれないほどの風鈴が、揺れていた。
夏の暑さを忘れてしまう、軽くて乾いて儚い音色。
四方八方から、ささやきかけるように聞こえてくる。
聴いているとなつかしい子供時代に戻ってしまうようだ。
ガラスの風鈴が多くて、半分は空の色が透けて見える。
まるで空から舞い降りた賑やかなお使いだ。
風鈴同士が楽しくおしゃべりしてるよう。
参道の両側には、朝顔がたくさん花をつけている。
水をまいた跡があるので、葉や花に水玉が見え元気に見える。
紫、青、ピンク、様々な色が優しく風に揺れている。
朝の綺麗な空気に瑞々しく柔らかな花を広げる。
お寺にお参りする前に、なんだか清々しい別世界を感じさせてもらったようだ。
日本の夏、こんな朝もいい。
絵 マシュー・カサイ「風鈴の道 朝顔の花」水彩 新麻紙 1091X788mm