花火の夜 夢の空花
ドーンと、大砲のような轟音に驚いてベランダに出た。
夜空が光に満ちていた。
そうか、今日は花火大会だった。
蒸し暑い夜だったが、一挙に気分は盛り上がった。
冷えた缶ビールをグラスに注ぐと、急いでベランダに戻った。
ドドーンという腹に響くような発射音がビルにこだます。
ヒュウーという打ち上げ音がいくつも重なり、口笛のようだ。
パーンと弾けて滝のような光が溢れる。
パラパラパラと軽い音が響いて二段目、三段目の炸裂が続く。
いつもはビルの夜景と車のライトばかりの眺めが、今日はなんて華やかさ。
大輪の花が轟音とともに次々と花開く。
光の奔流が夜空に吹き上がる。
街のあちこち、ビルの窓々から歓声が聞こえる。
蒸し暑さなんて吹き飛べ!夏バテなんか消えろ!
笑顔で冷えたビールを喉に流し込む。
あっという間に消えていく光の花だが、いったい何人の人が見つめているだろう。
光のオリンピックみたいだな。
笑顔と大歓声を浴びて誇らしげに消えていく花火たち。
花火の終了の後、大空には薄く煙がたなびき、光の妖精たちが仕事を終えて天に帰っていくような気がした。
激しく華やかに光輝きパッと消えていく。
そのシンプルな潔さ。
まるで神社でお祓いを受けたような清々しさ。
花火に闘魂注入されたかな。
絵 マシュー・カサイ「花火の夜 夢の空花」水彩 1091X788mm
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