夏の終わりに
今日は海岸に人が少ない。
あれほど賑わっていたのが、嘘のようだ。
相変わらず日差しは暑い。
でもその暑さの中に、一瞬涼しい風が混じってくる。
大勢の人声も、鳴り響いていた音楽も聞こえない。
この方がいいなと思いながらもなぜか少し寂しい。
夏の終わり
言葉にしてももの悲しい。
波打ち際を歩きながら、今年も海の水に触れるのは今日が最後かなと思う。
祭りの後のような空虚感。
相変わらず綺麗な青空の向こうから、壁のように大きな雲が近づいてきた。
大きな雲の奥は暗くなっている。
嵐でも来そうな気配。
大風や大雨の後、季節がはっきりと変わっていくことが多い。
今年の夏もいろいろあった。
息苦しいほどの暑さに参ったこともあったが、やはり夏はエネルギーを感じる。周りから生命力を感じる。
時折吹く涼しい風にホッとしながらも、小さな空しさが消えない。
自分の人生の夏もそうだったのかもしれない。
絵 マシュー・カサイ「夏の終わりに」水彩 P60