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アウトでしょー!  (ショート)



               (約830字)
千奈は高校生、自宅は郊外の一軒家。
庭も広くウッドデッキの母親のガーデニングは自慢。友達もよく遊びに来てた。


ただ駅から遠い。
夜道の帰り道はたまにドキドキする。
父親の帰りも遅い。
まだ甘えん坊の弟の世話で夕方母親はてんてこまい。


ランニングをしてる人が後ろから来たら、たまに胸がキュッとなる。
タッタッタッ…と走る音が近づいてきて、走り過ぎれば安心する。


ある夜タッタッタッ…の音が消えない日があった。
「追い越してくれればいいのに」と思いながら
速足しで歩くが相手は一定の距離をとってる感じだ。
千奈は小走りになった。
四角を曲がったら消えた。ホッとする。





翌日もまたタッタッタッ…の足音
ランニングコースにでもなったのか?
千奈はまた小走りで、他所の家の門扉に身を寄せた。タッタッタッ…も門扉に入ってきた。
千奈は身がすくんだ。
タッタッタッ…の男性が言った。
「何か用?」
千奈は恐怖で声も出なかった。
家の外灯でしっかり顔は覚えてる。





タッタッタッ…の男性は大きな声で「ママ聞いてあげて」と家の中に入って行った。

「この人の家なの?」
優しそうな女性が出てきた。
「貧血で少し具合が悪くなって」
適当な話しをして千奈はその家を後にした
表札を見たら「立田」と書かれてた。

変な汗と安堵感で夕暮れの中、坂道に向かって
思いっきり「アウトでしょー!」と叫んだ。





高校3年間千奈は帰りは早足、小走りに
ダッシュ。脚力がついてきた。
友達と歩いてても速い。
後ろにいる友達皆から「千奈!アウトでしょー」とマイペースを指摘される。

タッタさん貴方のせいよ!
アウトでしょー!」

千奈は就職してランニングを続けた。初めてフルマラソンに出ることとなった。それなりの自分のデーターは認識してノウハウはあるつもり。
初めてで緊張して仕方ない。落ち着かず周りを見回すと意気揚々としてる男性が。
「あれ?タッタさん?」顔はしっかり覚えてる。


何でいるのー?!「アウトでしょー!」
緊張は一気にほぐれた。



    タッタさんありがとね🏃

         safe


「タッタ」さんの様に自分に自覚はないけれど良い意味で人に影響を与えてくれる方意外と多いかと思います。ありがとうございます。
       タッタッタッ…🏃


         


            フィクションです


                サブリナ