バス運転士の2024年問題と人手不足⑤
元警察官で、数回の転職を得て、現在はバス運転手をしている傍ら、講演講師として活動をしている者が、思ったことを書くつぶやきです。
私個人の見解であることをご理解の上、読んでいただけると幸いです。
「2024年問題」で路線バス大幅減便、千葉県と市が緊急実態調査開始(産経新聞) - Yahoo!ニュース
少し前(先週)の記事になります。
この記事を読んで思ったことは、
○一番苦労して働いている「バス運転士」の視点が一切ない
○バス会社に実態調査をしても、現場の意見は何も出ないし、解決はしない
→バス会社が「人手不足なんです~」としか言わない
○利用者の声と言うが、たまにしか使わない人の話をあたかも住民全員の意見として報道している
○マイカーを利用し過ぎたために、道路渋滞や駅ロータリー等の駐車、バス発進時の進路妨害等により、バスの運行環境が劣悪になった
○カスハラ客が激増している
○障害者手帳等を持っている客の態度が酷い
=割引は当たり前だと思っている、感謝を全く感じていない
○知事自ら「行政はできることはない」と言い切ってしまっている
等、色々あげましたが、改めて一番言いたいのは、
「バス運転士」の視点で物事を観ていないのが一番問題であると思います。
バス運転士は「長時間拘束・低賃金・劣悪な環境」等は言われていたが、それが一向に改善されていません。
なので、いくら会社(採用側)が運転士募集をかけても、人材は集まってこないのです。
賃金をあげれば人は集まるかと言うと、長時間拘束がネックになり、やはり人は集まりません。
そしてカスハラ客をはじめ、マイカー利用者の態度の悪さがさらに拍車をかけていると思います。
現役運転士が思う、人が集まる策は、
○賃金をあげる:最低でも税込み年収600万円は確保すべき
お客様の命を預けて運行している鉄道や航空機業界と比べると格段に賃金が低いので、1000万円とは言いませんが、人間として最低限の生活が確保できる賃金に持っていくべきであります。
そのためには、収入を確保しなければならないのですが、ある程度の運賃値上げはやむ得ないと思い、利用する方もその点は受け入れるべきだと思います。
世間大半の業種は賃金が上がっているのに、バス運転士は賃金が下がっているんです。それが現実です。
○1日9時間拘束・8時間労働
デスクワークをされている方は当たり前だと思いますが、バス業界は、朝から夜までバスを動かすために、15時間会社に拘束されているんです。
賃金は拘束時間のうち、バスを運転している時間(6~8時間位、残業を入れて10時間位)しか賃金が発生しないのです。
皆さんの会社がこんな勤務体系・賃金体系だったらどうしますか?
間違いなく猛反発することでしょう。
バス運転士は、使命感で長時間拘束をしていますが、もう限界に来ています。世間一般の方と同じ時間にしないといけないのです。
○道路環境の改善、カスハラ客等の排除
駅前ロータリー等に駐車されている車や発進時に進路妨害をする車をなくして欲しいです。そのためには、行政が主導を取ってバス利用促進をしたり、バスが運行している時間帯はロータリーへのマイカーの進入を一切禁止にしない位、厳しい措置をしないと、マイカー利用者は改善されません。
カスハラ客の排除については、毅然とした対応で、苦情は一切受け付けない位の強い姿勢で行かないと、バス運転士のメンタルはやられてしまい、せっかく入社した新入社員がすぐに退職してしまい、常に人手不足となっているのです。
バス会社の経営者は当然ですが、利用者・住民・行政・国が真剣に取り組まないと、路線バスをはじめ、観光バスや貸切バスの社会構造が崩壊するのは時間の問題であり、待ったなしの状況です。
記事に出ている知事さん、バス運転士を救うことが、バス全体を救う一番の策であることを、早く気付いてほしいです。
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